ゼロベースからの化粧品の品質管理【第1回】
化粧品は我々の生活の中で身近な商品で、様々な業界からも新規参入されたり、ヘチマ水のように身近な薬品類を混ぜ合わせれば簡単に化粧品が出来上がると考えている方もいたりしますので、化粧品業界の内部で活動している者としては、肌に使われる商品であることの怖さや責任の重さが理解されているのか疑問を感じます。
今回、執筆の機会を頂きましたので、筆者が経験したり諸先輩方から教えて頂いた化粧品に関する事項の中で、お客さまにとって“安全”、“安心”、“満足”する製品を提供するために、化粧品の製造所として必要な品質保証体制および管理体制について、何回かに分けてお話させて頂きます。
具体的なそれぞれの説明に入る前に、筆者がセミナー等で良く問い合わせを受ける事項として、次のものがあげられます。
1)
『これから化粧品業界に参入する計画ですが、法規を見ても何から手をつけたら良い
かわからない。』
2)
『医薬品業界で長年仕事をしてきたが、化粧品業界の管理の匙加減が分からない。』
3)
『外部委託生産で対応しているが、トラブルがなかなか止まらない。どんな風に管理
したら良いのか分からない。』
このような悩みを持っておられ、『GMPの書物を読んでいるが良く分からない』という状況であることを耳にします。なかなか率直にはお伝えできませんが、コンサルタントとしての立場から説明させて頂くと、
重要事項1)
自社の製品、ブランドがどこまでこだわっているのか?
様々な競合の商品の中でお客さまに選んで頂ける商品として一言で言える状態だろうか?
●競合他社の製品、最近はプライスライニングで商品をカテゴライズするのではなく、同じ機能の商品お幅広く捉えて、他社製品ではなく自社の製品を選んでもらえるための商品のこだわりが明確になっているのかが重要であると考えます。
勿論、お客さまが同レベルの機能でしたら価格も重要な要因になります。
●ここで重要な事は、同じような商品でも商品に関わる情報が丁寧、分かり易い、親切ならば当然選択される可能性は高まるものと考えます。商品として捉えるならば、【本体機能】と【情報機能】の両面でお客さまは評価されており、情報提供、場合によっては接客時の対応状況も重要な要素です。
●また、不随しているものとしては、商品、ブランド、会社のイメージ、商品そのもののデザインも重要です。かつてデザイナーの方と様々なお話をしている中で、【本物の力には及ばない(蒸着と金属が持つ質感、良さの違い)】、【丸みを持った温かさと角張ったデザインの良さ、芸術的と身近な親しみは違う】、【女性は桜色ピンク色の物は手に取ってみたいが、黒は強さを感じるが手に取りたか?】というお話も聞きました。
重要事項2)
商品の品質保証に対して、企業トップがどこまで拘っているのか?
●最近ですと、医薬品業界でも不正が話題になり薬機法が改訂されています。業界を取り巻く環境が厳しい中、兎角価格競争の中に踏み込まれますが、その中にあっても譲れない領域や企業ポリシーが明確になっていることが重要です。
●例えば、安全性に関わる確認テストとしてはパッチテストが広く行われていますが、費用面からパネル人数を絞る、その一方で文献や別の技術情報や試験を絞ることはないでしょうか?
●倉庫業から建屋を改造し、医薬部外品の製造業の一般区部許可を取得され、自社のハード、ソフト面に関する品質リスクアセスメントも行わずバルクに直接触れる作業を請け負って大丈夫でしょうか?
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