ゼロベースからの化粧品の品質管理【第2回】

 第一回では、よく質問を受ける品質に関する悩みに関して、自社の商品の価値、求める水準を明確にした後に、その品質水準を確保する過程で発生しうる品質リスクをリストアップし、そのリスクを低減させるプロセスを確実に行うことの重要性をお話しました。医薬品、化粧品だから甘いレベル、厳しいレベルで匙加減が分からないという論点ではなく、自社の求める品質水準を明確にし、その水準対して生産における品質リスクを事前に考えることの重要性を身近な事例で説明しました。
 今回は、そもそも化粧品の品質とは何か?品質を構成する要素とその品質を『誰が、何時作業をしても、必ず高い品質で、同じ品質のものを繰り返し生産する』体制とは何か、これらを実現する仕組であるGMPの基本の要素について説明します。

 1.お客さまが求める化粧品の品質とは何か?
 化粧品は様々な商品カテゴリーがあり、ヘアカラー、パーマ剤、脱毛剤等の医薬部外品では求められる機能が明確になっていますが、これらの商品以外にも、たるみ防止化粧品、痩身用化粧品等様々な効能が謳われている商品があります。化粧品の製造者である我々はこれら商品広告等で謳った効能を実感できる商品を供給すること、何時買ったものでも同じように体感できること、購入したものを使い切るまでその効能が実感できることを保証することが、品質保証の上では重要な一要素です。
 一方で、瓶がかわいい、高級そうでステータスを感じる、車のコマーシャルでかつて『何時かは、クラ*ン。』というものがありましたが、商品を使っていることに対してセレブ感を感じる等、効能要素以外にも品質を構成する要素は様々な要素があり、それらの要求に対応することも品質保証の上では重要です。
 話は:少し脱線しますが、機能性化粧品と呼ばれている化粧品が話題になっていますので、このカテゴリーの商品について説明致します。
 化粧品では、効能表現は薬機法で規制されており、55項目が定義されています。一方、日本香粧品学会が定めた化粧品機能評価法ガイドラインに沿って評価を行い、効果が確認された商品は“機能性化粧品”と呼べます。市場で販売されている商品としては、「抗シワ製品」「医薬部外品美白製品」があります。一方、小ジワの改善を訴求する機能性化粧品でもその効能表記は、「乾燥による小ジワを目立たなくする」という表現に限られます。従って、機能性化粧品として謳いたい場合には、独自の試験を行っても機能性化粧品をうたうことはできず、ガイドラインにそった試験を行い、その効果データを保有することが品質保証の上では必須になります。
 これらのお話をすると、化粧品において品質保証というとこの効果効能およびそれらを支える薬剤の保証に視点が限定されがちですが、化粧品において品質を構成する要素としては様々な要素があり、生産者、商品の供給者として化粧品の品質を保証する上では品質を構成する要素の理解が必要です。
 ① 有形の品質:定量的にできる品質、例えば、保湿効果については、開発段階では、濾紙や豚皮を使用して水分の蒸発速度を測定、皮膚の表面水分量の測定をしたりし、生産においては確実に各成分が配合されて、均一な物性になっていることを保証することが必要です。

 ② 無形の品質:間接的にしか評価できない品質です。外観や使用している時に感じる高級感や満足感、あるいは使用している時に感じるくつろぎ感等を脳波測定したりします。

 ③ 嗜好:単純に好き、嫌いで評価される特性です。ピンク色が可愛らしい、丸みの容器は親しみ、手に取ってみたく感じる等です。

 これらの品質は、提供する商品が、ターゲットとなるお客さま、目的、提供方法等が、供給する企業が想定したものと購入されたお客さまとの間でギャップがある場合にはお客さま満足に繋がらないため、満足しない品質、低い品質の製品と評価されてしまいます。従って、前提条件としては、提供する商品がターゲット、目的、提供方法等を明確にして、それにあった商品を開発し、提供することが重要になります。この部分は主に『設計品質』と呼ばれている要素になります。
 その後、商品は量産過程においては様々な変動する要素の下で生産を行うことになり、『設計品質』の実現を目指して製造するものの、品質、コスト、納期への要求に対して実際に生産を行った結果が『製造品質』と呼ばれる品質で、この商品が最終的にお客さまに渡ることになります。
 従って、『設計品質』が高いレベルならば問題ないとは必ずしも言えず、原材料を確保し、それらのロット変動に対して製品の品質変動を最小限にする仕組みを構築して生産することが必要です。原材料に関しては、採用時および使用する際には先ずは安全性の確保を最優先して、供給者管理を適切に行って調達し製品に作り上げること、適正な構造設備(衛生面・生産能力・適切なロットサイズ)に関して適格性評価(要求事項と整合する、意図したように作動する、効率的に再現よく機能すること)を行い問題ないことを確認した後に使用し、繰り返し同じ品質を確保するよう生産することが求められています。
 

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