医療機器の生物学的安全性 よもやま話【第12回】

 前回で細胞毒性試験の結果が明らかとなりました。
 そこで、今回はその評価方法について、ご説明したいと思います。

 試験液濃度とコロニー形成率を図にプロットすると、前回もお示しした下図のような関係が得られたとします。
 この中で細胞毒性が一番弱いのはDevice 1~3のうちどれでしょうか。
 言わずと知れたDevice 1ですね。どんな濃度でもコロニー形成率は、100%であるため、細胞毒性は無視できるレベルです。
 それでは、Device 2と3ではどちらの方が細胞毒性が弱いでしょうか。まず試験液濃度が低濃度の反応を見ますと、コロニー形成率が低下し始めるのが早いのがDevice 2です。Device 3はもう少し濃度が高くなると毒性が出始めます。ただ、その後はDevice 3の傾きが大きく、急激にコロニー形成率が低下する一方で、Device 2は比較的緩やかに低下します。
 下矢印で示した試験液濃度がIC50値ですが、IC50値で比較すると、Device 2 > Device 3という結果になります。毒性の出現開始濃度で比較するとDevice 3 > Device 2と逆転しますが、前回ご説明したとおり、試験液濃度が高いところや低いところの誤差が大きいので、50%程度のところを指標としてIC50値を求めるようになっていることから、50%付近の誤差が少ないところで比較した方がよさそうです。
 したがって、Device 2の方が細胞毒性が弱いということとなり、3者を比較すると、細胞毒性の弱い順に、Device 3、Device 2そしてDevice 1となります。
 

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