【第3回】CSVからCSAへ データインテグリティも踏まえたFDAの新ガイダンス動向

2020/12/18 施設・設備・エンジニアリング


Computer Software Assuranceという言葉自体が意味するもの
従来のComputer System Validationという言葉から新しいComputer Software Assuranceという言葉に変わることにどのような意味合いが込められているのであろうか?
第1回の冒頭で紹介した本ウェブサイトで古田土真一氏が紹介されたPharmaceutical Onlineサイトの”Are You Ready? FDA's Transition From Computer System Validation To Computer Software Assurance” (https://www.pharmaceuticalonline.com/doc/are-you-ready-fda-s-transition-from-computer-system-validation-to-computer-software-assurance-0001)には執筆者が読んだ限り、それぞれの言葉の定義の詳しい解説はなく、Googleで検索してみつかる他の複数のサイトでの解説記事を読んでも同様であった。したがって、SystemをSoftwareに、ValidationをAssuranceに置き換えたこと自体に、その適用範囲の変更等の特段に深い意味が込められているものではないと思われる。

ValidationからAssuranceへ
そのかわりに、第2回で紹介した資料のプレゼンテーション者であるFDA CDRHのFrancisco Vicenty氏が別の民間のUSDM Life Sciences社のウェビナーで使用した資料(簡単な無料登録によりhttps://www.usdm.com/Insights/Webinars/Computer-Software-Assurance-Update-from-the-FDAからオンディマンドウェビナーの視聴と動画ダウンロードが可能)に含まれる”From CSV to CSA”というタイトルのスライド中で、以下のようにValidationとAssuranceが対比されている。
<Validation>
 ・コンプライアンスのための文書記録の作成に焦点
 ・何でもバリデート(そして、高リスク領域を見逃し)
 ・前に行った保証活動または関連リスクコントロールを無視
 [ テスト:20%、文書:80% ]
<Assurance>
 ・システム性能のより高度な信頼性確保のためのテストに焦点
 ・リスクベースの”Assurance”、患者安全性かつ/または製品品質に対する
  リスクの与えられたレベルについての正しいレベルの厳密性の適用
 ・前回の保証活動および上流/下流のリスクコントロールを信用する
 [ テスト:80%、文書:20% ]
この対比の意味するところは、とどのつまり前回解説した内容を含む「パラダイムシフト」ということにつきると執筆者は理解する。

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執筆者について

的場 文平

経歴 2019年1月より小野薬品工業株式会社 CMC・生産本部 分析研究部所属。
医薬品GMP分野におけるITシステム、特にMES、LIMS、CDSの取り扱いを専門とし、最近4年間はデータインテグリティ確保に関して執筆・講演。じほう社刊佐々木次雄/編「FDAのGMP査察から学ぶ 第2版 読めばわかる査察官の視点・指摘の意図」の「第2章 医薬品に対するForm 483とWarning Letters」、「第6.10章 データ管理とデータの完全性」の執筆を分担。過去にアストラゼネカ株式会社(2006年)、富田製薬株式会社(2017年)、日本イーライリリー株式会社(2018年)に勤務。2007年1月~2017年3月の約10年間は独立行政法人医薬品医療機器総合機構 情報化統括推進室にて薬事申請承認許可業務管理システムの企画・運用・保守業務およびEMA EudraGMDPシステム端末の国内導入設置業務、ならびに医療情報活用推進室にて医療情報システム(MID-NET)のインフラ構築業務に従事。2002年~2005年には、日本アイ・ビー・エム株式会社およびIBMビジネスコンサルティングサービス株式会社(当時)にて、製薬・医療機器製造企業向けのPart 11対応/ER・ES指針対応/CSVのコンサルティング業務に従事。2004年にはISPE GAMP JAPAN ForumのGAMP 4翻訳チームリーダーとしてGAMP 4日本語訳出版を推進。自称「FDA情報収集オタク」、「英文ガイダンス文書速攻翻訳家」、「替え歌作詞家」。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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