『PIC/S GMP Guide ANNEX15』2015年10月施行改訂版 対訳資料

解説
※対訳資料は、本記事の最後にPDFの形で添付します
(対訳資料を更新しました:2015年10月2日)



2015年4月13日のジュネーブでのPIC/S委員会でPIC/S GMPガイドのアネックス15の改訂版が採用され、2015年10月1日に発効されることとなりましたので、その翻訳をお届けしたいと思います。
 

本アネックスはこれまでのPIC/Sガイドと同様、EU GMPとほぼ同じ内容となっております。

EU GMPのアネックス15につきましては、以前、我々もドラフト版を基にプロセスバリデーションを考える材料として解説(EU-GMP Annex 15: Qualification and Validation 改定案に対するコメント)を致しましたが、正式発効版はドラフト版からは多少の変更がありますので、少しその点について触れてみたいと思います。
 

全体を通して感じることは、Validation、Qualification、及びVerificationという用語の違いを厳密に区別して使っていることです。FDAが2011年に提案した、新しいプロセスバリデーションのガイドラインを意識して、医薬品のライフサイクルを通じて、プロセスバリデーションの過程で、クオリフィケーションの大切さが強調されているように思います。本アネックスで、5.1章に、プロセスバリデーションを成功させるためには、製品開発の過程がしっかりしていることが前提であると言い切っています。
 

本当は、バリデーションと言う用語を使いたくないのではないか、と推測しますが、あまりにもバリデーションという言葉が世界中に広がって定着してしまったために使わざるを得ないというのが実情ではないでしょうか。伝統的プロセスバリデーションと言う用語に苦心の跡が見られますが、実生産設備を使ったプロセスクオリフィケーションあるいはFDAのPPQという用語を使った方がわかり易いと思います。
 

何でもかんでもバリデーションと言う時代は終わり、輸送のベリフィケーション、洗浄のベリフィケーション、オンゴーイングベリフィケーション、再クオリフィケーション等、実態を表した用語が用いられるようになったと言えるでしょう。
 

各論で目についたところは、先ず1.8章にデータの完全性に関する記載が追加されております。データの完全性についてはインドの査察結果で重大な不備が相次ぎ、ここ数年の大きな問題となっており、これが契機になっていることは間違いありません。ただし、今回の追加はこれが一部の特殊な会社の不祥事というばかりではなく、一般的な問題点の一つと考えられているということを示しております。
 

洗浄バリデーションについても実質的な変更があります。ドラフト版にあったADE値(一日暴露許容量)が無くなり、限度値という表現になっています。ADE値が用いられたのはそれなりの理由もありますが、幾つかの問題点があります。先ずこの値は一般的に労働衛生上の指標として作業員の皮膚、呼吸等からの吸収による健康被害の防止のため、主として有機溶媒に用いられてきた指標です。製品への持越し量を規制する洗浄バリデーションの指標とは性質が異なっているのですが、なぜか混同して用いられてきたようです。対象となる製品は市販製品が一般的であり、人に対する安全性に対する十分な知見が蓄積されているのが普通です。動物実験から得られるADE等より信頼性は高いと考えて良いと思うのですがなぜかこうした観点は無視されて議論がなされてきたように思います。
 

毒性の指標に関しても実質的な追加、変更がありますが、基本的には製品の不純物の許容限度については企業の責任であり、製品ライフサイクルを通じてリスクマネジメントに基づいて決定するものであり、それに沿って修正されたと思います。
 

その他の変更は主に表現上の問題で、実質的な内容の変更ではないと考えられますが、信頼できる品質の製品を製造するために何をすべきかについては、製造業者が最も良く知るところでなくてはなりません。そのためにガイドラインの文言に囚われて本質を見失うようなことがあってはならず、そうした意味もこれら表現の改訂に含まれていると思います。
 

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