現場管理者・監督者へのメッセージ(GMPの3原則から)【第11回】

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10.GMP3原則の3番目「(3)高度な品質を保証するシステムを設計する」について
 「(3)高度な品質を保証するシステムを設計する」とは、原則(1)「人為ミスの防止」、原則(2)「汚染や品質低下の防止」などの対策も含め、その会社の医薬品品質を高度に保証するためハード面・ソフト面の下図「品質を保証するシステムの体系」に例示したような各システムが製造販売業者および製造業者で構築され、安定的・継続的に管理・実行されるように設計することである。
 もう少し補足的に言えば、

・各システムの判断基準、運用管理手順(役割、責任、権限、関連部門)および記録の残し方などの"取決め"が文書化され品質部門に承認されており、

・これらの"取決め"が、管理/実施される製造販売業者や製造業者(製造所)の組織全体や個人個人に周知徹底され、遵守されており、

・正しく実施されたことを証明する記録が残されており、

・さらに、"取決め"の運用管理状況を定期的にレビューし妥当性が評価され維持改善されており、

・これらの活動全般について推進/維持向上を管理する「品質(保証)部門」が十分機能している、

状態を確立することだと考える。
 "品質(保証)部門が十分機能している"とは、製造部門から独立し、必要な人員が十分確保されていることを指す。
 この「原則(3)」は、現場マネジャーや係長だけでなく製造所全体の取組みで達成されるものである。とは言え、現場マネジャーや係長は自職場のことだけでなく「高度な品質を保証するシステムを設計する」組織の一員として、これらのシステム全体の取組みを熟知しておかなければならない。

<品質を保証するシステムの体系>
 以下の様な各システムが取決められ文書化され、遵守されているか。
 


 上記の(1)~(11)までの各システムを要約すると、

(1)製品標準:製造販売承認書に基づく、製品や原材料の規格・試験法、標準製造法などに従う。

(2)組織/責任体制:品質部門の製造部門からの独立や、各業務の責任者など責任区分を明確にする。

(3)構造設備:建物/設備/機器などのハード面を"高度な品質を保証する"よう設計/施工し、適格性の確認、メンテナンス、機器校正などを行う。

(4)環境:環境/用役の管理や、清浄化/滅菌/消毒管理、汚染防止/交叉汚染防止を図る。

(5)人/教育訓練:全職員にGMP管理を理解させ、担当業務の"取決め"事項を習熟・遵守することを徹底する。

(6)原料/資材:保管管理や、原料/資材メーカーを監査・指導を実施し、安定した品質を保つ。

(7)製造管理:作業員が、製造作業や衛生管理に係る"取決め"に従い作業し記録し、その記録を精査する。

(8)品質管理:検体の採取、試験検査、参考品の保管や安定性調査などを行い、記録し精査する。

(9)出荷管理:原材料受入試験/製造/試験/包装、および逸脱/変更などの全ての記録を出荷判定者がレビューし、製造所からの出荷判定を行う。

(10)自己点検:定期的に自己点検し、また定期的に製品品質の照査を行い、改善事項をフォローする。

(11)品質情報/回収:社外品質情報や回収の処理方法を定め、必要な時に迅速に対応する。

 というように、各システムが体系的に構築され、安定的/継続的に管理され実行されることによって、「高度な品質を保証する」ことができることになる。
 上図の各システムを下表の通り少し具体的に記載してみた。全てを網羅している訳ではないので、参考として、イメージを掴む程度として、見て戴きたい。
 

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