再生医療等製品の品質確保のための要求事項【第9回】

 ここでは、再生医療等製品/特定細胞加工物(細胞製品)の商用生産に伴い、細胞培養加工施設や作業者などの資源をどのように扱い、どのような運用(生産計画)を行うべきかについて、現状における考え方を概説します。製造管理の運用は、本来は個別で、ケースバイケースと考えますので、あくまでも考え方の1つとご理解ください。また、今回のお話しでは、これまでの細胞製造性を考慮し、自己細胞由来製品、あるいは同種細胞由来製品でも比較的小ロットサイズで典型的となる、少量多バッチ生産を想定し、議論を行っています。
 
●細胞製造の運用における制約とその対応
 以前(第5回)でもお話ししましたが、細胞製品の品質は、プロセス・イズ・プロダクトであり、製品設計時に定められた製造手順を変更することは困難です。また、各製造工程の実施時期は、細胞の育成期間に合わせて、予め定められた間隔で実施する必要が生じます。したがって、一般的な製造と比べると、運用における柔軟性が低く、特に、無菌操作等区域で容器を開放して細胞加工を行う(容器ハンドリングの)製造では、無菌操作等区域を1バッチ(ロット)の製造で占有すると、構造設備(無菌操作等区域とその設置環境)の稼働率はとても低くなります。
 そのため、容器ハンドリングの細胞製造では、1つの無菌操作等区域において、並行して複数のバッチを処理することで、効率的な構造設備の利用およびリーズナブルな生産計画の運用が実施されることが一般的となると考えています。特に、自己細胞由来製品の製造では、安全キャビネットを無菌操作等区域とする細胞培養加工施設において、既に、そのような運用が行われている実例が存在しています。
 このような、少量多バッチ(あるいは多品種)の製造では、各バッチの工程終了時毎において、次作業のための切り替え手順(チェンジオーバー)が重要となります。細胞製造におけるチェンジオーバーの概念は、一般的な品目切り替えによるラインクリアランスとは異なり、無菌操作等区域の無菌性は、ブレイク(破綻)せず、全工程を通じて継続的に維持されているので、「清浄化」の要求は、直前の工程作業による残留が次工程に影響を及ぼさないような清掃の手順を構築することです。このとき、原則として、単一製品製造と複数製品の並行製造の違いによって、手順に差異が生じることはありません。したがって、複数の由来が異なる原料細胞を用いた少量多バッチ製造の実施においても、単一製品製造と同様に、無菌性の維持が可能と考えられます。
 具体的に、容器ハンドリングによる手作業の製造における、チェンジオーバーの手順構築の進め方は、直前の工程作業で使用した機器や工程資材を全て無菌操作等区域より除去し、細胞操作を実施する作業者が触れる可能性のある部分(床面など)を清掃し、作業者を介して次作業時の製品内に汚染物が持ち込まれない、清浄化の達成手段と操作手順を確認することです。安全キャビネット内の無菌操作等区域は、気流により空間の清浄性は継続的に維持されており、外周の壁面に付着した飛沫核等は、無菌操作を実施する空間へ再侵入することはありません。したがって、試薬や工程資材等を配置あるいは作業者が触れる可能性のある床面のみの清掃を清浄化とすることで、チェンジオーバーが達成されると考えます。他方、アイソレータ内の無菌操作等区域では、操作用グローブ付近など、清浄化が必要な部分の形状が複雑となるので、操作手順の構築がやや煩雑になると考えます。異物混入のリスクは除染工程では対応できないので、細胞製造でのチェンジオーバーでは、清浄化の中でも清掃手順の構築が最も重要となります。

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