再生医療等製品の品質確保のための要求事項【第3回】
ここでは、再生医療等製品の規制(法令)への適合に係る考え方について概説します。あくまでも概説であり、多様性のある再生医療等製品の品質確保は原料種や適用症例によりケースバイケースが生じると考えています。現状では事前相談等を活用し、できる限り早い段階から規制側と議論を開始することが重要となります。
●GCTP省令
2013年までの薬事法においては、細胞を主成分とする製品は、作用機序に応じて医薬品か医療機器のいずれかに分類され、それぞれの手順で製造承認と品質マネジメントに係る適合確認が進められました。当時に承認を受けたジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社の培養上皮と培養軟骨は医療機器と分類されています。一方で、細胞を製品とするには、医薬品あるいは医療機器の分類のみでは齟齬が生じることも少なくなく、全ての細胞製品に対して同じ手順で進められる新たなカテゴリーの必要性が議論されていました。
そこで、2014年11月から施行された医薬品医療機器等法(薬機法)では、患者の遺伝子治療を目的とした治療を含む細胞治療や再生医療を「再生医療等」と定義し、新たに再生医療等製品というカテゴリーが新設されました。カテゴリーの新設により、国内での細胞製品の医療用製品承認は従来の医薬品や医療機器の概念にとらわれず議論ができるようになったと考えています。欧米では未だに従来の医薬品として議論されていることを考慮すると、再生医療等の産業化推進において、現時点では日本がアドバンテージを有していると評されています。(注: すでに米国ではオバマケアの21st century cures actにおいて同様の法体制の準備が進められており、今後については流動的です。また、現状では審査の手順が確立されておらず、課題も多いことも否定できないと考えています。)
薬機法において新たな製品カテゴリーが設定されたのと並行して、製品の製造管理および品質管理の基準においても、GCTP省令(厚生労働省令第93号)という新たな法令が発効されました。従来の医薬品GMP省令あるいは医療機器QMS省令と並ぶ、再生医療等製品の品質管理システム構築を目的とした法令です。GCTP省令では、従来の医薬品GMP省令の項目に、品質リスクマネジメント、ベリフィケーション、品質の照査という3つの項目が新たに追加されました。次項で説明しますが、これらの要求基準は医薬品製造と差異がないと考えます。並行して、構造設備規則およびGQP省令(品質管理の基準)などについても、再生医療等製品に合わせて変更が行われていますが、内容は再生医療等製品製造に不適な基準を見直したのみで、こちらも同様です。
以上のように、再生医療等製品に係る規制においては、細胞を製品とすることを前提とした法令が準備されました。目的として前面に出てきたのは、製造・品質管理のシステム構築と考えます。他方、各項目の名称より、従来の医薬品等の規制に比べ緩和されたと認識されている方も少なくはないと思いますが、医薬品製造と品質確保の手順が異なるものの、製品の製造および品質管理に対する要求は従来と変わっていません。
●GCTP省令
2013年までの薬事法においては、細胞を主成分とする製品は、作用機序に応じて医薬品か医療機器のいずれかに分類され、それぞれの手順で製造承認と品質マネジメントに係る適合確認が進められました。当時に承認を受けたジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社の培養上皮と培養軟骨は医療機器と分類されています。一方で、細胞を製品とするには、医薬品あるいは医療機器の分類のみでは齟齬が生じることも少なくなく、全ての細胞製品に対して同じ手順で進められる新たなカテゴリーの必要性が議論されていました。
そこで、2014年11月から施行された医薬品医療機器等法(薬機法)では、患者の遺伝子治療を目的とした治療を含む細胞治療や再生医療を「再生医療等」と定義し、新たに再生医療等製品というカテゴリーが新設されました。カテゴリーの新設により、国内での細胞製品の医療用製品承認は従来の医薬品や医療機器の概念にとらわれず議論ができるようになったと考えています。欧米では未だに従来の医薬品として議論されていることを考慮すると、再生医療等の産業化推進において、現時点では日本がアドバンテージを有していると評されています。(注: すでに米国ではオバマケアの21st century cures actにおいて同様の法体制の準備が進められており、今後については流動的です。また、現状では審査の手順が確立されておらず、課題も多いことも否定できないと考えています。)
薬機法において新たな製品カテゴリーが設定されたのと並行して、製品の製造管理および品質管理の基準においても、GCTP省令(厚生労働省令第93号)という新たな法令が発効されました。従来の医薬品GMP省令あるいは医療機器QMS省令と並ぶ、再生医療等製品の品質管理システム構築を目的とした法令です。GCTP省令では、従来の医薬品GMP省令の項目に、品質リスクマネジメント、ベリフィケーション、品質の照査という3つの項目が新たに追加されました。次項で説明しますが、これらの要求基準は医薬品製造と差異がないと考えます。並行して、構造設備規則およびGQP省令(品質管理の基準)などについても、再生医療等製品に合わせて変更が行われていますが、内容は再生医療等製品製造に不適な基準を見直したのみで、こちらも同様です。
以上のように、再生医療等製品に係る規制においては、細胞を製品とすることを前提とした法令が準備されました。目的として前面に出てきたのは、製造・品質管理のシステム構築
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