【第8回】デジタルヘルスで切り拓く未来

 

「防災DXとデジタルヘルス、生産の強靭化」



●要旨
 2024年初の能登半島地震の発生は、私たちの社会の状況をさらけ出しました。人口が減りはじめた社会において、復帰も維持も大変です。そこで、防災DXと医療DXについてしっかりと考え、連動させるなどの工夫が必要です。デジタルヘルスは大きな意味を持つでしょう。また、供給体制についてもより真剣に考える必要があります。データのジャーニーを考えるように、部分だけでなくシステムで取り組むことも重要です。
 
●はじめに 災害が明らかにしたこと
 2024年のスタートで強く印象に残ったのは、能登半島地震です。この地震によって甚大な被害が出ています。被災地域の問題だけでなく、日本の現状を映し出しているように感じました。医療のリソースにおいて、地方ではすでに課題を抱えています。また、災害医療のニーズは、フェイズによって変化します。このことに対応できるような仕組みがあるかどうかも課題でしょう。デジタルトランスフォーメーション(DX)への対応ができているかどうかも重要です。すでに人が少なくなりはじめた時代において、このような災害は大変な苦しみを伴うことがわかります。
 今起きていることをよく観察し、私たちは学んで歩み続ける必要があります。
 

<図表> 防災DXと医療DXをつなぐ


1 災害がある日常をどう考えるか
 ここ数年を振り返りますと、日本では地震以外にも多数の災害が発生しています。豪雨や豪雪等はある程度予測できますが、その程度や場所を正確に予測するのは困難であるだけではなく、それに耐えるだけの仕組みが整っているともいえません。能登半島地震では、耐震基準を満たさない建築物もたくさんあり、それが被害を大きくしています。つまり、予測も大切ですが、災害を減らしていく努力も求められます。
 なかなか現実感を持てない人も多いでしょう。仮に、あなたの住む地方で震度7の地震が発生したらどうなるか、線状降水帯による豪雨が発生したらどうなるか、思考実験をすることも大切です。BCP(Business Continuity Planning事業継続計画)を立てている組織もありますが、その策定時期と今、今後の社会構造とは、同じと考えられるでしょうか。
 災害について忘れてしまう人間の性質にも目を向ける必要があり、普段から行える仕組みも重要です。避難訓練もその一つですが、災害時でも使えるものを日常のものとする工夫も良いと思います。能登半島の地域で津波から逃げることができた地域では、普段からの取り組みに工夫がありました。滅多に起きない災害と考えるのではなく、常に災害リスクがあるのが今日です。生体モニタリングの道具の充実など遠隔診療を備えておき、交通遮断でも対応できるようにするなど、レジリエントな社会の構築を急がなければなりません。すでに人が少なくなり、交通状況に支障が起きている地方においては、遠隔技術による診療や健康支援などは日常の課題のはずです。デジタルヘルスは、課題の多い状況に大きな力を発揮することができます。
 こうした仕組みは、日本の強靭化につながるだけでなく、海外でも役に立つものとなるでしょう。近年の激しい変化を見せる地球を考えると、備えておくことは大切で、それは日本の大事なビジネスコンテンツになることが期待されます。

2 防災DXと連動する必要性
 防災DXについて取り組みが進んでいます。内閣府による戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)スマート防災ネットワークの構築事業を見るとよくわかりますが、単に災害の予測をするだけではなく、減災や、強い街づくりなど多様なメニューが用意されています。ヘルスケアや医療なども含まれています。私たちは医療DXについて真剣に取り組まなければならないのは明白ですが、防災DXにある視点を活用するのも大切です。
わかりやすい事例を示します。避難行動について、防災DXの中で教育コンテンツや情報の仕組みなど、盛んに取り組みが行われています。しかし、避難する人々の身体の状況はどうでしょうか?避難するためには、体力が必要です。ロボットや移送の道具開発も大切なテーマですが、自分で逃げることのできる体力は、ヘルスケアの領域で培っていかなければなりません。
 避難所における健康管理も非常に重要です。医療の継続も必要になるでしょう。避難所運営のDXとともに、しっかり考えておく必要があります。例えば、お薬手帳ですが、電子化する等、どこでも見られるようにすることはとても大切です。しかし、アプリの継続においてビジネス面でも問題を抱えているだけでなく、バラバラの仕組みがあるために統合にも困難が生じます。マイナンバーの活用による医療DXの推進が行われていますが、防災DXにもつながるようにしたいものです。

 

 

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