【第1回】デジタルヘルスで切り拓く未来

「デジタルヘルスに期待する社会の状況」

●要旨
 人口構成の変化を含め、少子高齢化社会の課題に対し、デジタルヘルスが果たす役割は大きいと考えられています。最近の急激な変化をしっかり見つめるには、「医療4.0」の視点を活用するなど、工夫をすると良いでしょう。医療の場所、データの働き、医療の主体の変化が起きるでしょう。地方での早い変化は未来を示すものであり、デジタルヘルスをいかに活用するかを示す大切なヒントです。

●はじめに 社会の変化に向き合っているか
 少子高齢化社会の課題は以前から話題になっています。しかし、実感を持っている人は少ないようです。同様に、デジタルトランスフォーメーション(DX)も進みがよくありません。ところが、新型コロナウィルス感染症への対応をきっかけに、社会が大きく変化しています。それは医療の構造だけでなく、価値観にも影響しています。その変化に私たちはしっかり向き合っているでしょうか。
最近の医療のシーンを思い浮かべてください。日常生活の中にオンライン診療の窓口が現れ、在宅医療を選ぶ人も増えています。また、自己検査を体験した人も少なくないでしょう。変化を支えている仕組みの一つがデジタルヘルスです。
これからの医療の姿を意識しつつ、現在のデジタルヘルスの先にあるものを含め、多様な視点から連載します。よろしくお付き合いください。

<図表> 「医療4.0」から私たちが気づいておきたいこと

1 「医療3.0」から「医療4.0」へ
 皆さんは、「医療3.0」や「医療4.0」という言葉を聞いたことがありますか。医療にITを導入して革命を起こそうと「医療3.0」が登場しました。ちょうどタブレットパソコンが使いやすい形で私たちの目の前に出てきた時期です。筆者はこの当時、神戸大学医学部に勤務しており、医師である杉本真樹先生をはじめ、様々な人々が、ITを医学教育に活用しよう、医用画像の理解をもっと自然にすることで医療の安全を推進しよう、医療現場の連携を良くして行こうと活動しているのを見ました。医領解放という言葉も強く印象に残っています。
 そして今は、「医療4.0」としての動きが活発です。ITの活用は当たり前で、何を実現するのか、どんな価値をもたらすのかの目線が重要です。なぜならば、社会が大きく変わり、さらに大きく変化することがわかっているからです。人口構成の変化はもちろん、医師の働き方改革等を背景に医療のリソースについても再考しなければなりません。この変化に対応するだけでなく、もっと良いものへ導こうとしていることから、「新医療1.0」とも呼ばれています。

 

 

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