【第3回】デジタルヘルスで切り拓く未来

 

「デジタルヘルスのプレイヤーを知る」



●要旨
  医療関連製品やサービスのプレイヤーが変わってきていることに気づいていますか。医師ベンチャーの活躍が目立っています。カオスマップなどを用いて業界の構造をよく観察すると、開発環境の変化に気がつくでしょう。また、ユーザが開発者に近いことも特筆すべきことです。医工連携自体の姿も変化しており、従来の開発のフローから異なっていることにも目を向けておく必要があります。

●はじめに プレイヤーは誰だろうか
 活躍する医師ベンチャーが増えています。特にデジタルヘルス分野においては、活躍めざましいものです。皆さんに気づいて欲しいことは、医療製品開発のキープレイヤーが変化していることです。
 もちろん世代も大きく変化しています。医療現場のスタッフの年齢をよく観察してください。平成生まれの人が増えています。彼らがどのような環境で育ってきたかを考えてみてください。写真を撮る、電話をかける、ジェスチャーをしてもらうとよくわかります。つまりデジタルネイティブであり、電気通信回線のない世界は想像できないかもしれません。しかし、医療の現場では、昔のままのものもたくさんあります。その生きながらえている機器と新しいサービスの関係を考えなければなりません。


<図表>カオスマップの事例


 1. デジタルヘルスを牽引している人々
 ローコード、ノーコード開発が可能となった今、デジタルヘルス開発を牽引する人々の中で、医師をはじめとした医療従事者のプレゼンスが非常に高くなっています。そしてデジタルヘルスに関する本を編むのも医師です。今日では、医師の起業は珍しくなくなりました。
 デジタルヘルスカオスマップはますます充実し、「デジタルヘルストレンド2023」には135社が登場しました。そのキープレイヤーを見ていると医師ベンチャーが多いことがわかります。医師のキャリア形成の多様化が背景にありますが、それだけではなく、開発の道具が変化したことも大きな要因でしょう。昔はホームページを作ろうとするとHTMLのコードを書かなければならず、大変な手間でしたが、ブログサービスが登場し、アイテムを貼り付けるだけで誰でも作れるようになりました。  
 SNSを活用した情報発信も容易です。効率の良い道具が使えるようになり、医療従事者が医療製品やサービスを開発することも容易です。ノーコード、ローコード開発が可能になり、開発時間も短くなりました。医療現場での困りごとや願望から生まれたアイデアをプロトタイピングするのも簡単です。そして何よりも彼らは、ユーザーデベロッパーとして、より良い方向をすぐに見出すことができます。こうして素早い動きが叶えられています。

2. 才能ある医師の活躍から気づくこと
 開発環境が整い、医療に対する思いが深まれば、まずは実際に手を動かそうとするのが最近の医師なのだろうと思います。筆者が開発から事業を手がける医師のサポートをしているとわかるのは、芸術の才をお持ちの方が多く、歌う、楽器をこなす、絵を描くなど本当に多彩です。よく考えれば、思いを表現するのが上手で、正解に沿うより、探究の姿勢があります。そこに便利な開発の道具やネットワークが備わった今、素晴らしい活躍に結びついているようです。そのような医療従事者とのネットワークは今後とても大切です。確かに彼らは多才ですが、品質よく継続性を持って生産を担うことはしません。製造販売として市場と向き合うことについては、企業の関与が大切です。
 一方で、起業はしないが、思いを発信し、行動を続ける医師も少なくありません。今は医師の思いを知ることができない時代ではありません。SNSで発信する人も多くいます。また、医業をメインとしながら開発に参画する人も多くいます。また、ニーズの発表やアイデアの開示などの方法で思いを形にする人もいます。様々な医療関連の職種に動きがあり、医療従事者は皆さんにとって、遠い人ではありません。
 

執筆者について

経歴 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

コメント

コメント

投稿者名必須

投稿者名を入力してください

コメント必須

コメントを入力してください

セミナー

eラーニング

書籍

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

※関連サイトにリンクされます