GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第70回】

教育訓練

1.タイパ

 タイパとはタイムパフォーマンスのことである。かけた悲観に対する効果「時間的効果」である。かけた費用に対する効果をコストパフォーマンスと呼ぶ。ヒューマンエラーを考える時に、タイムパフォーマンスやコストパフォーマンスを考えるべきである。製造工程や試験検査における不適合たる事象が発生した時、教育訓練不足として結論づけることが多い。実際に、その教育訓練を行う際の計画で、タイムパフォーマンスを考えられたか検討が必要である。その作業自体のタイムパフォーマンスも事前に考えるべきである。また、その教育訓練の実施後と実作業を行ったときに、どれだけのパフォーマンスがあったかを承知することが必要である。

 タイムパフォーマンスとは、費やした時間に対して得られた効果の割合である。新規の事業を起こすとき、その事業を検討する時間に対して、その事業として効果の割合を判定する。新規の医薬品製品を製造する場合、その製造方法、製造設備で、その製造時間、温度等管理などを検証するであろう。また、バリデーションを実施し、その品質が保たれることを見極める。その開発段階で検証し、生産量などを検討しながら、実作業を行うことになる。それらの各段階が順調に実施できるように検証して、効果的に行う必要がある。タイムパフォーマンスと断る必要はないが、作業を効果的に実施していくことが必要である。

 製造や試験検査における開発段階でのタイムパフォーマンスとして評価を行いながら、従事者がその開発段階から実生産に移行する段階で、その業務についての理解を深めることが必要である。教育訓練のタイムパフォーマンスを確認する必要がある。過去の違反事例で、教育訓練のタイムパフォーマンスを確認しないために、不適切な品質を招くことになる。教育訓練が文書の確認程度しかなされず、その教育訓練が有効的な実施しないことが多かった。違反となるまで、その効果を判定せずに実作業として、不適合が生じるまで認識していなかったのだろう。教育訓練を効果のあるものと判断できなくてはならない。

 医薬品の製造方法は、剤形が同じならば、類似することが多い。ここで、錠剤の製造フローを考える。

 
 錠剤の製造工程はほとんど同様なことが多い。しかし、有効成分である原薬が異なる。添加剤である賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、香料、吸着剤、可塑剤、着色剤、矯味剤など製剤の品質維持するために必要な添加物を選定しなくてはならない。原薬、添加物などが異なれば、秤量方法が異なり、混合工程の時間や温度管理などが異なる。製剤の品質を維持するために、その原料の選択、各工程の時間や温度管理などを検証し、手順として定めなければならない。作業者はその工程について理解する必要がある。これらの作業にどれだけの時間を要するのか、タイムパフォーマンスを考え、適切な作業を行う体制をつくらなければならない。

 

 

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