現場に役立つISO9000s【第5回】

はじめに
 品質マネジメントシステム監査に関する用語の定義は、JIS Q 9000で定められている以外に、JIS Q 19011に定められています。それらによりますと、監査(audit)は、監査基準が満たされている程度を判定するために、監査証拠を収集し、それを客観的に評価するための体系的で、独立し、文書化されたプロセスとなっています。
 監査には大別すると、内部監査と外部監査があり、外部監査には一般的に第二者監査と第三者監査があります。内部監査は、第一者監査と呼ばれることもあり、マネジメントレビュー及びその他の内部目的のために、その組織または代理人によって行われ、その組織の適合を自己宣言するための基礎と考えられます。第二者監査は、顧客などその組織の利害関係者またはその代理人によって行われます。第三者監査は、JIS Q 9001の要求事項への適合性を審査登録または認証する機関のような、外部の独立した監査機関によって行われます。ここでは、各監査について簡単に解説します。
 
1. 第一者監査
 内部目的のために、その組織自身または代理人によって行われます。JIS Q 9001 条項8.2.2 内部監査にも規定しています。品質マネジメントシステムが、個別製品の実現の計画に適合しているか、この規格の要求事項に適合しているか、及び組織が決めた品質マネジメントシステム要求事項に適合しているかなどを判断するために、効果的なマネジメントレビュー、是正措置、予防措置または改善計画などの情報が提供されます。監査員は、不適合の是正について助言・提案・勧告を積極的に行うことができます。また被監査者が望めば、一緒に問題解決に努めます。
 依頼者は、自組織のトップマネジメントで、監査者は自組織の内部監査員、被監査者は内部監査を受ける部署です。
 
2. 第二者監査
 顧客などその組織に利害関係がある団体またはその代理人によって行われます。これにより組織に対する信頼が生まれます。Vender audit(取引先監査)とも呼ばれます。監査員は、不適合の是正について解決策などをアドバイスすることはできますが、一般に被監査者と一緒に問題解決まではしません。
 依頼者は、顧客(発注者など)の担当部署(購買担当など)で、監査員は顧客から派遣される代理人です。独立した監査機関の監査員の場合もあります。被監査者は、仕事の受注者です。
 
3. 第三者監査(または審査)
 外部の独立した組織によって行われます。このような組織は、ISO 9001の要求事項に対する適合の認証または審査登録を行ないます。これにより、組織は、潜在的顧客からの信頼を得ることができます。審査員は不適合の指摘はしますが、解決方法などのアドバイスは行いません。
 依頼者は、審査登録を受けようとする被監査者です。審査員は、独立した認証機関から派遣されます。 次に、第三者認証の意味及び目標について解説します。第三者認証の意味として、JIS Q 17021の序文には、「品質マネジメントシステムの第三者認証は、
 a)認証された組織の品質マネジメントシステムが規定要求事項に適合している。
 b)明示した方針及び目標を一貫して達成できる。
 c)有効に実施されている。
 以上に示すことの、第三者による独立した実証を提供すること」と規定しています。
 第三者認証の目標については、同じくJIS Q 17021に、「認証の最終的な目標は、すべての関係者に、マネジメントシステムが規定要求事項を満たしているという信頼を与えることである。」そして、信頼を与える原則には、公平性、力量(実証された個人的特質、並びに知識及び技能を適用するための実証された能力)、責任、透明性(openness)、機密保持、苦情への適切な対応が含まれます。

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