医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第27回】

製薬工場の教育による競争力を高める人的資本について。
「製薬工場の教育による競争力を高める人的資本」
1、 製薬企業のあるべき姿
製薬企業の国際化が進む中、企業の多様化を配慮した対応力のある製薬企業が勝ち組として存続できる時代に突入しました。当初、両者合意の下で進められてきた企業統合が世界中でM&A敵対的統合という名の買収に変わり、M&Aは今や繰り返し行うことが当たり前で慣れてしまっている時代となりました。又、ロシアのウクライナ侵攻により、400以上の企業は素早く直近の赤字を覚悟でロシアとの事業をやめようとしています。ステークホルダーを考慮した企業経営が明らかになり、グローバルスタンダードの中身がHSE(健康安全環境)の安全を優先的に見直されています。これはサプライチェーンにストレスがかかり、エネルギーや食糧価格の高騰を招いています。このように世界中の企業を中心に国際化・多様化が進み、どの国の企業であるかによって色別することなく企業活動が、そして生産活動が許容されています。これが資本の自由化によるものです。世界中の人々が自分の働いている会社の仕事にてで他国で働くことなどは当たり前の時代です。さて、この変化に医薬品工場の従業員の皆さんは対応出来ていますでしょうか?つまり、各国法制に対応せねばなりません。例えば、JGMPのみならず世界中のGMPに対応出来ていなければなりません。各国の国内法や地方の法律(アメリカでは州の法律)のすべてに適合せねばなりません。ところが日本国内企業の医薬品製造工場では国内法対応のみ考慮した生産活動をすることで足りて来ました。その結果、世界中が国際化・多様化に対応すべく、グローバルスタンダードで企業活動を進め、Gap Analysisを行い、国際法適合(もちろん国内法も)を日々微調整し、法律対応をしてきています。また第三者機関にAuditを依頼してその対応を真摯に行ってゆかねばなりません。 古い文化(古い考えの社員が作ってきた文化)で誤った法的対応が行われるようなことが無きよう、例えばGMPの製造承認内容の理解で長期に渡り医薬品を製造するようなことが起こらないよう、グローバルスタンダードにより、Gap Analysisを定期的に行うことを定着させることが求められています。これらの対応をすることと、国際化・多様化に向けて社員や従業員の充実した教育もグローバルスタンダードに盛り込みます。教育はグローバルに精通した社内外の講師やアドバイザーにより、グローバルスタンダードに従い、教育プログラムを組み、社員さん従業員さんの教育育成することが求められています。 GMPやHSEは第一優先課題としてグローバル企業は人的資本を高める努力をしているのです。これにより、BCM(事業継続マネジメント)上も人員育成により、バックアップ体制に寄与するなど企業活動に不可欠な課題を克服出来ることも大きな成果となっています。では、どんな工夫や対策を実施してこれから発生するだろう自然災害や人的災害に対応する準備をBCMで構築されているでしょうか?今、問われているのはBCM運用はもちろんのこと、委受託会社、原料副原料供給会社、資材供給会社、運送会社をはじめとする関係会社を取り込んだBCMでなければ、有事の際に生産活動を再開継続することに対する担保とはなりません。このサプライチェーンが国内のみとは限らないのが近年の国際化多様化による企業の生産活動の現状ではないでしょうか。国内でのみ必要なBCM運用のプログラムを使用していては企業活動リスクがまだまだ大きいと言わざるを得ません。
ロシアウクライナ侵攻により、グローバルスタンダードの再定義が必要?
BCM ビジネス継続マネジメントシステム
GMP患者様の安全 HSE: 従業員の健康安全を守る
国際化多様化は今や海外の話ではなくなりました。国内企業の海外企業との間で業務提携や委受託、原料供給、副原料や資材の供給などは当たり前のように行われています。グローバル企業はすでに必要なBCM対応を多かれ少なかれグローバルスタンダードで運用してきています。国内企業もグローバルスタンダードでサプライチェーンを巻き込んだ運用をせねばなりません。人的資本を高めて競争力を高めておくことこそが近未来の生き残りを担保出来る唯一の手段となることでしょう。
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