医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第1回】

1、HSE(健康・安全・環境)とGMPは両輪
医薬品のHSE(健康・安全・環境)以下HSEと略します。。企業によりEHS,SHEと順番が異なる場合も内容は同様です。。稀に企業のPolicyにより優先順に使用している例もあります。HSEに従事している人または経験者の数はGMP担当者の数と比較すると1:100くらい違うと思います。近年特にHSEは世界的な対応が求められているにもかかわらず、国内医薬品工場ではその導入があまり進んでいませんでした。
医薬品の製造会社ではHSEとGMPは生産活動の両輪です。。
GMPは医薬品製造上の基準であり、法的要件でありますがHSEはグローバルスタンダードとしての社内基準です。しかし乍、HSEにより社員や地域環境、そして会社を守る基盤があってこそ、安心して仕事ができることを経営者は認識せねばなりません。
医薬品工場がその社会的責任(CSR)を果たすべく、強い生産工場として信頼を得ることが出来るようにHSEの導入を図りましょう。今回はこの記事の掲載をさせていただく機会がいただけましたので、海外でのHSE Auditの際のよもやま話などを交えてHSEに興味を持っていただけるように脱線などを気にせず記事にさせていただきます。

2、HSEで責任の所在を明確に
 H:Health健康と訳す。(衛生ではない)・・・健康被害リスクを低減する。
 S:Safety安全・・・・工場で働くすべての人の命と傷害リスクを低減する。
 E:Environment環境・・・・工場内外の環境影響リスクを低減する。
 上記のリスク低減を図るためには各種(約10種類)リスクアセスメントを行い、工場のTopリスク、又はTop3リスクを優先順位付けする必要があります。
本件は厚労省から「リスクアセスメントをやりなさい」という通知が何年も前に各社へ届いています。しかしながら、やり方がわからないのか、誰がいつ誰の責任でやるのか明確でない工場は出来ていないに等しい状態です。または実施責任者の知識が無いのでやらない理由を取ってつけているため出来ていないのです。
その結果、工場長に工場のTopリスクを聞くと即答できず、これは大きな問題です!!
そして、答えられない工場長は工場長として失格なのです。

更に実施責任者はSafetyや曝露評価に関してはラインマネジャーです。
社員の健康被害や傷害が発生したらラインマネジャーは全責任を取らねばなりません。
障害が残るような場合はご家族のところへ土下座しに行く立場です。
知識がないからという理由で出来ていない事例が多くあります。それでは自力ではできません。そこで、教育が必要となり、お金がかかります。ラインマネジャーは何とかして部下の人たちを守るために専門家の教育を受けられるよう社内で働きかける必要があります。上司または工場長が許可しない場合は決してあきらめないことが大切です。
食い下がってください。部下の人たちを健康被害やケガから守るためなのです。
私の知っている何人かの医薬品工場の工場長はご自分の工場で働く人たちを健康被害(曝露被害)やケガから守りたい!!と強い信念で会社の了解を取り、曝露管理のコンサルタントを教育のために導入されています。
そのような方々は、私が尊敬する立派な工場長だと思っています。
では、工場長失格の方と比べると何が違うのでしょうか?
経営者としての知識や工場の将来計画など工場長としての一般知識をお持ちの方が工場長になられています。
しかし、更にレベルが高い工場長は社員や工場で働く人々を差別なく健康被害や安全から守るべく強い気持ちで信念を貫いている人であります。
 



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