ドマさんの徒然なるままに【第41話】教育訓練・後編


第41話:教育訓練・後

後編のはじめに

本話は、前編(第40話)の続き、後編です。前編の冒頭でも述べましたが、本話、ほぼ間違いなく異論・反論を唱える方が出てきて炎上しそうなので、はじめに述べておきますが、すべて筆者自身の解釈による個人的意見、すなわち私見です。特に、この後編は、自分で言うのも何ですが、かなりハチャメチャなことを、どぎつい言葉で述べています。ただ、書いている本人としては、製薬業界に長く在籍し医薬品の品質保証に関係する“一社会人”として、しかも一時期はそれなりに責任のある立場にいた者として、真剣に語っているつもりです。

ちなみに、本話は、『勝手にGMP論』シリーズ*1の第8弾(カミングアウト版を除く)であり、章番号も含めて前編からの続きとして書いておりますので、必要に応じて「第40話:教育訓練・前編」をご参照ください。

なお、本話においては、品質に関わるGood Practices全体、具体的にはGMP省令・GQP省令・GCTP省令・GDPガイドライン・その他PIC/S GMDP等の総称として「GMP」と記しています。特定のGMPに言及している場合には、都度具体的に表記を施していますので、その点をご了承願います。
 

第5章:上級経営陣への教育訓練って?(前編からの続きとして)

ここのところGMP違反に伴う回収や、またジェネリック医薬品関係では人員の能力を超える品目数に起因すると思われる不始末も多いですよね。行政も含めて、声高に「経営陣の責任」を問いかけ、「上級経営陣の教育訓練」云々を言い出している*2*3。それ自体はその通りで結構なのだが、じゃー、具体的に何をするの? 「医薬品の品質はビジネスに大きく影響し、信用・信頼を失いますよ。GMPはその医薬品品質を保証するためのツールですし、そもそも法令ですからコンプライアンスしなきゃダメですよ。」とでも言うのだろうか。犯罪者とも言える儲け優先の恣意的な商売をしているのでなければ、そんなことは“言わずもがな”で承知(少なくとも認識)はしているんじゃないでしょうか*4
 

第6章:伝え方を変えたほうかいいんじゃね?

うーん、率直に言わせて貰います。上級経営陣だってバカじゃないんだから、そんなことは分かっていると思いますよ。むしろ、「お宅の製造販売している製品●●の回収ロット多すぎなんじゃないですか。その他にも回収品目が相当数ありますよね。回収ばかりしてたら、儲けよりも回収費用のほうがかかり過ぎて赤字になっちゃうんじゃないですか。それに加えて回収の影響が、欠品だとか出荷調整だとか、他社にまで影響させちまって、ドクターからも信頼を損ねてるし、お宅の信頼、がた落ちなんですよね。このまま行くと、他の製品も買ってもらえないんじゃないですか。」とか、率直に伝えたほうが理解し易いんじゃないかと思ったりします。

もっと具体的な内容が欲しいとでも言うのであれば、「回収の原因を考えたことあります? 承認書記載とは別の製造所からの原薬を使っていたとか、承認書記載とは異なる試験方法で出荷試験していたなんて論外で話になりませんよ。そんなことじゃなくて、GMP省令にも要件として書いてある、安定性モニタリングが規格割れしてるんですよね。普通、そんなことが起こらないように、申請時にプロセスバリデーションまでやって検証してるはずですよね。それで外れちゃうってどういうことですか*5*6。こういう製造作業と試験検査の関係とか分かってます? お宅、製造現場をちゃんと見てます? そもそも、お宅、工場に何回足を運びました? ほれっ、出荷の際のバッチレビューってこんなことするんですけど、やってみてくださいな。大変な作業でしょ。時間かかるんですよね。でもレビュアーは、たったの■名しかいないんですよね。一方で、品目数は◆◆もあるんですよね。どうみても無理なんじゃないですか。悪いけど、いい加減にしかレビューしてないから、市場出荷された後で「えぇー!?」みたいなことが起こっちゃうんですよねー。」ってな具合の説明では、いかがでしょうか。

もっとキツイ言い方をお許しいただけるのであれば、「本社のデスクに座って、偉そうに「●●しろ!」なんて部下に言ってるだけだから、いつになっても改善が図れないんじゃないですか。そんなことじゃ、いつになっても治らないと思いますよ。」ってなことを伝えないとダメなんじゃないですか? と思ったりします。そして、こういうほうが、上級経営陣の教育訓練にはマッチしていると思いますが、いかがでしょうか。
 

第7章:上級経営陣のお仕事って利益を出すことなんじゃね?

上級経営陣って、簡単に言えば「役員クラス」ということですよね。となれば、彼らの役目は、会社の株価を上げて株主を含むステークホルダーに貢献することであり、自分たちの給与も一般の方々とは異なり、会社利益の中から分配するんですよね。少しでも儲けを増やして、(聞こえは悪いが)懐を肥やすことが目的な訳ですよね。

彼らの責務の観点からすれば、少しでも原価を下げて利益率をアップせざるを得ない。だからと言って品質の劣化に繋がるようなことは許されないですが、ギリギリOKならばそれで良いと考えても不思議じゃないし、普通はそうするんじゃないでしょうか。少しでも無駄なカネは使わない。それが経営者としての役割なんじゃないでしょうか。

こういった時に品質と相反する状況や考え方、悪い言い方をご容赦いただければ、打算的な考え方に対して、どのように対処するかが問われている訳ですよね。だとしたら、一般の作業従事者向けのGMPの教育訓練なんて、何の意味も無く、時間の無駄ですよ。「GMPの一般原則や目的」といった概念的なものについては無意味とは言いませんが、(第三者を前にしての建前は別として)原則や目的の先にある患者さんを見据えているとは思えないし、それを知ったところで「良きに計らえ!」で終わっちゃうんじゃないでしょうか。理解できるまで継続して実施する? 申し訳ないですが、相当暇な会社と言わざるを得ないような・・・。

Management Reviewの一環として製品品質の照査をして貰ってる、ってか? それはそれで結構なことです。でも、それって現状認識としては有用だと思いますが、日々チェックする訳じゃなく、あくまで年一回程度の現状把握にすぎませんよね。中長期的視点でのリソース配分といったものならばともかくとして、個々の問題提起に対して事の発端をどれだけ理解し、その具体的な対応策がどれだけ図られているか疑問なんですが。しかも当該担当の本部長クラスはともかくとして、経営陣全体にどれだけ共有化されているかどうかも疑問ですし。誰だって自分の責任が問われるような自本部や自担当部門の不備・不具合はあまり言いたくはないですよね*7。しかも、内容によっては、事後の話となってしまうため手遅れになるんじゃないでしょうか。製品品質の照査自体を否定つもりなどなく、それはそれでGMP要件としてもPQS要件としても、また経営的な目的としても必要かつ重要と思いますが、教育訓練の1つの題材や資料にはなっても、教育訓練そのものとは別の話(少なくとも別要件)のような気がします。
 

第9章:御託を並べたって逆ギレされるだけなんじゃね?

前章で述べたように、経営者には会社経営という大事な使命がある。メインはそっちだし、そっちをキチンとやって貰わなければ会社が潰れてしまう。もっと具体的に、GMP、いやもっと広く、医薬品の品質の保証ということが、どう会社の利益に影響するか、そして、さらに現代ではそれがマスコミのみならずSNSを通じてどのように拡散し、消費者(医療関係者や患者のすべて)の不安・不信に繋がり、ひいてはそれが風評被害であったとしても、会社への信頼にどれだけの影響が及ぶかを実害としての事例や体験を通して身をもって教えてあげたほうがベターだと思うんですけどね。

例えば、以下のような教育訓練なんて、いかがでしょうか。具体的な内容については、各社により検討していただくしかないですが、方向性は分かっていただけるんじゃないでしょうか。これが正しいとは思いませんが、正論を並べたところで効果が出るとは思えないので、勝手に列記してみました。要は、「カネ(費用)に換算しうるものについては。すべてカネに換算して伝え、目に見えない部分の労力については、どれだけの時間が発生するか(ある意味では人件費)について身をもって体験させること」と言えます。

[あくまで私見で一例です]
・製造コスト vs. 製品回収とそれにかかる費用、さらに信用・信頼係数~実際の事例を基に数値が出せるのであれば、より効果的と考えます。
・製造記録のレビユー&試験検査記録のレビユーにおける不備チェック(間違い探しのようなもの)の手間 vs. 人員数の差~練習用の各記録を準備し、やらせてみて、その時間と正解数、要は実体験として分からせる。
・上記の製造記録および試験検査記録、その他の環境記録等のレビューにおける手間~各部門責任者の記録レビューやQAによる出荷レビュー(バッチリリース)がどれだけ大変で市場出荷に影響するかを実体験として分からせる。
・対応で発生する時間と労力を人件費に換算~実際の貴社での対応にかかった時間・人員を数値化し、人件費に換算して示す~トレーナーがクレイマーに扮して、その対応を体験させるのも一法かと思います。
・回収(場合により苦情を含む)のたびに発生する無駄なSOP改訂や教育訓練の時間と労力を人件費に換算する、と共に製造コストおよび産廃処理費用などの実費も含めて損失分として示す~製品が市場のどこまで進んでしまったかに依存しますが、大方は経営陣の想像以上の実費が発生しているはずです。
・教育訓練にかかる手間(資料準備・開催時間・評価)を費用に換算、さらに問題児の更生(再教育等)にかかる手間に言及~ただし、一番の問題児が当該経営陣の可能性あり(高い?)。
・(もし製品品質照査の資料を教育訓練に用いるのであれば)資料内の事項についてのワークショップ~改善策を議論させることで身近な問題と認識させ、かつ必要なリソース配分を意識・検討させてみたい。出来れば経営会議の俎上に上げるまで持って行ければ最高だと思います。ちなみに、このワークショップ的手法、理解促進はともかくとして、経営者間の認識のズレについての調整には使えるように思います。

こういった現実的な数値(コスト)や実体験が物を言うような気がします。特に体験型については、「口で言っても分からない者に対しては体で分からせる」のが手っ取り早いんじゃないかと思うのです。時と場合(上級経営陣の“質”)によっては、リスクマネジメント演習として、多少の“騙し”も含めて、この手の損益としてやらせることも必要かと思います。結果として少しでも効果があれば、中身の無い、あたかも記録書作成を目的としてるんじゃないかと疑ってしまうような形式的な教育訓練よりも遥かにマシなんじゃないでしょうか。もし「やってみたい」と自ら手を挙げるようであれば、その時点で合格(そういうプラス評価の仕方もあり)だと思います。たぶんやらないだろーなー、とは思っているのですが・・・。

可能であれば、年に1回とかは実施して貰いたいものです。ただ、効果的なのは、回収騒動が起こった場合、結構ヤバイ苦情が入った場合といった現実の問題が発生した時がチャンスかと思います。でも、それを了承して受講するような上級経営陣であれば、かなりマトモにも思えますけど・・・。
 

第9章:一筋縄でいかない方々を相手すると思ったほうがいいんじゃね?

上級経営陣って頭も切れるし、経営的な手腕も凄いものを持っている。だからこそ現在の立場にいる訳ですよね。でも、医薬品の品質に対してすべてを承知している訳じゃないですし、患者救済こそ我が命だとする神様・仏様のような方々ばかりという訳でもないですよね。優秀で人の上に立つ立場になった方々ですから、非凡であるが故に、良い意味でも悪い意味でも、凡人からすれば一筋縄には行かない方々なんじゃないでしょうか。

「GMPやGQPは品質保証のためで、省令でも定められており、コンプライアンスが重要です。」なんて正論を言ったところで、「君がそんなことしか言えないから問題が発生してしまうんだよ。もっと具体的で適切な運用を図るのが君の仕事なんじゃないのか?」と逆ギレされるのがオチですよ。何事も相手の立場や性格をみて、ベスト、少なくともベターと思えるやり方を工夫しなきゃ。

えっ、うちのビッグボスは大丈夫だって? それは良かったです。でも、自慢することじゃなく、それが当たり前ですから。そこんとこはヨロシク! うちは聞く耳持たぬのラスボスだから口が裂けても言えないよなー*8、と思っている、貴方。そう貴方ですよ。それは、もしかしたらビッグリスクかもしれませんよ。いやー、別に脅している訳じゃありませんよ。世間を騒がせるような品質問題が無いことがフツーの状態だって言いたいだけですよ。一般の教育訓練と同じように、今度は上級経営陣への教育訓練だと称して山ほどの教育訓練記録を見せつけられても困るよなー、と思うだけです。あくまで上級経営陣については、御社として問題が生じていないという“結果がすべて”を物語りますからね。
 

第10章:正攻法がダメなら別の手を考えるしかないんじゃね?

賛同して貰おうなんて気はまったくありません。確実に言えることは、上級経営陣に正攻法かつ理屈のGMPなんぞ理解して貰おうなんて無理としか言いようがないということです。もし、正攻法の理屈のGMPを理解してくれる上級経営陣なのであれば、たぶん既に理解してくれているということであり、お宅は立派な経営陣がいていいですねー、と言うことです。そういう会社様は、今までも、そして今後も(行政やマスコミを騒がせる)品質問題を起こすことはないんじゃないでしょうか。

ハッキリ言います。不祥事を起こす会社さん、そう簡単に治らないと思います。それが証拠に組織再編だとか体制整備だとか言っておきながら、不始末を繰り返していません? 社長を筆頭に幹部全員を総入れ替えして別会社にでもすれば始末の悪い遺伝子が消えるかもしれませんが、ヒトの性格が変わらないように、会社の体質もそう簡単には変わらない(変えられない)んじゃないですかね?*9 国内外を問わず、“Quality Culture”なんて言い出したことが、会社の是正の難しさを承知の上での期待なんじゃないでしょうか。

前編では、「教育訓練」と訳している英語(ある意味、GMPとしての原語)の“train”は手段であって、その目的はあくまで“qualified”だと強調しました。しかし、上級経営陣に対する教育訓練って、一般職員に対する“train”とはちょっと違うような気がします。もし“train”が手段であるならば、そのやり方は、上級経営陣の立場によっても会社によっても異なるんじゃないんでしょうか。

ただ、目的である“qualified”については、その立場において具体的な内容は異なるかもしれませんが、それぞれにおける適格性は求められるんじゃないでしょうか。「医薬品は疾病で苦しむ患者さんのためにあり、それを少しでも緩和・救済することこそが製薬会社の使命である」としたら、“Qualified Manageenmt”の使命は言うまでも無いことですよね。

上級経営陣の方々がこんなアーティクルを読むとは思っていませんが、GMPとして上級経営陣の教育訓練が求められてきたから教育訓練を実施するとか受けるという受け身の姿勢ではなく、上級経営陣自らが自身に必要な知識や情報を前向きかつ主体的に受け、自身の使命を適正に遂行すること、その姿勢そのものが問われていると考えるべきだと思います。そして、そのやり方については、「私が理解できるまで徹底的にやってくれ。時間も可能な限り空けるから。方法はQAにお任せする。その評価も厳しくていいから、キチンとやってくれ。」でいいんじゃないでしょうか*10

終章:Qualified Managementであれ!

それを踏まえて、本話の総括を述べます。
GxPのいずれであっても、ガイドライン等に規定されている云々に振り回されるのではなく、規定を自分たちの仕事に如何に当てはめて使いこなすかを考えることが大事で、それが適正な運用であり、本当の意味でのコンプライアンスなんじゃないでしょうか? そこに導くことが、本当のtrainなんじゃないでしょうか? そして、それが満たされたことをqualifiedって言うんじゃないでしょうか? そうだとすれば、「上級経営陣の教育訓練の手段は一般職に対するものとは異なるかもしれないが、目的は立場こそ違えqualifiedすることで一緒である」ということです。

製薬会社、それが製造業者であれ製造販売業者であれ、資本主義社会の中でビジネスを行う以上、利益追求それ自体に口を出すつもりなどありません。ただ、規格は勿論のこと承認書記載事項に準じるなんてこと、GMPを筆頭に法令遵守なんてこと、コミットした上での許可や承認ですから当然のことであり、それを守れない(守らない)なんて、意図的な違反以外の何物でもなく、もはや犯罪と言わざるを得ません*11。どんな製品であれ、品質を犠牲にしてのビジネスなんて在り得ません(ハッキリ言って詐欺です)。まして健康さらに生命を左右する医薬品ですよ。原点に戻って、「医薬品の品質は安全性と有効性の源であり、ヒトの生命に関わる。また生命に関わるからこそ安定供給が命綱となる。」ということを忘れないでください。そして、それを全うすることが「製薬会社としての正義」なんじゃないんでしょうか*12*13

先述のように、上級経営陣の方々がこんなアーティクルを読むとは思っていませんが、もしお読みいただく機会があれば、あるいは読者の中で上級経営陣に提示できる機会があれば、と言うことで、筆者から上級経営陣の皆様に、教育訓練のつもりで次のような言葉をお贈りします。

ステークホルダーに感謝・信頼され、自社の利益を上げたいのであれば、品質に愛を込めてください! あなたの会社のクスリで命が救われたと感じる方が必ずおられるのですから。

最後までお読みいただいた方々に感謝いたします。



では、また。See you next time on the WEB.
 

 

【徒然後記】

クオリファイド店員
この数年、近所のコンビニの店員に外人さんが多くなった。日本生まれなのかもしれないし、ハーフなのかもしれないが、見た目には、もろ外人さんに見える容貌の方である。でも、ハッキリ言って、この手の外人さんのほうが、日本語も丁寧で、対応がキチンとしているように感じる。
マニュアルがあって、そのマニュアル通りの対応だと思うが、よくよく考えてみると、コンビニに必要な要素って、「店舗」と「マニュアル(SOP)とレシート(売り上げ記録)」と「店員」と考えれば、GMPに必要な要素と同じような気がする。
最初の話に戻るが、コンビニの店員さん、その国籍や性別、さらに年齢を問わず、結構バラツキがある。すごく丁寧で親切な方から、こいつヤル気あんのか? と疑問を感じるような、精算時にエコバッグを拡げても「お入れしましょうか?」の一言もなく、しかも列には誰もいないにも拘らず目線だけは「早くしろよ!」と訴えかける奴である。
個人的にふと思う。“Not qualified(Disqualified)”って、コイツのことだ!! 教育訓練、バイトだって、それなりにやっているはず(と思う)。でも、ヒトの扱い、違った言い方をすればヒトの管理(ここはcontrolじゃなくmanageなんでしょうねー!?)って、性格や資質が伴い、とっても難しい。
でも別の見方をしてみると、マニュアル的にはどちらも“trained”されているんじゃないかと思う。でも、この違いって何なんだ!? 今回の教育訓練の話を書いていて気づいた。この差こそが“trained”と“qualified”の違いだと。


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*1:『勝手にGMP論』シリーズ、第1弾から第5弾までは、以下の通りである。
第1弾:第5話「X+Yの悲劇
第2弾:第6話「Psの悲劇
第3弾:第9話「Sustainable GMP
第4弾:第10話「世界に一つだけの GMP
カミングアウト版:第14話「Into The Unknown
第5弾:第18話「ミッション:ポッシブル
第6弾:第27話「GMPの質・前編」および第28話「GMPの質・後編
第7弾:第32話「品質道
第8弾:第40話「教育訓練・前編
 
*2:上級経営陣の教育訓練に関係する本邦の通知等の一部を列挙する。
・ 令和3年7月12日付 薬生発0712第2号「「医薬品の製造販売業者における三役の適切な業務実施に関する留意事項」の一部改正について
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000804704.pdf
・ 令和3年7月2日付 薬生薬審発0702第5号・薬生監麻発0702第5号「医療用後発医薬品の承認審査時における新たな対応について
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210706I0010.pdf
・ 令和4年1月31日付 事務連絡「医薬品の製造業者における製造・品質管理体制について
https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cmsdata/5/3/7/5370df85c966de69149cb0e69fe5f7ef.pdf
 
*3:教育訓練とは別の話とはなるが、上級経営陣に相当する者へのクオリフィケーション(少なくとも筆者はそう考える)としては、以下のような通知が発出された。
・ 令和4年4月28日付 薬生安発0428第2号/薬生監麻発0428第8号「医薬品製造販売業者及び医薬品製造業者に対する調査への責任役員の同席について
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220502I0040.pdf
・2022年4月28日付GMP Platformトピック「【重要】 厚生労働省/医薬品製造販売業者及び医薬品製造業者に対する調査への責任役員の同席について
https://www.gmp-platform.com/article_detail.html?id=13814
 
*4:リスクマネジメント、ナレッジマネジメント、コンプライアンス、ガバナンス、そしてヒト・設備機器のクオリフィケーションといったことが欠如するとどんなことが起こるのか!? 業種こそ違えど、今般の知床半島における観光船遭難事故は、それを如実に物語っている。他山の石として自身を律するか、対岸の火事として無視するかは、貴方しだいですが、会社の命運は、そんなちょっとしたことにかかっているんじゃないでしょうか。
 
*5:具体的には「第34話:不可解なPV」を参照のこと。
プロセスバリデーション(あくまで実機・実スケールが原則)と長期安定性試験(ジェネリック医薬品の申請用加速試験ではそもそも限界あり)と承認申請書データの科学的整合性を踏まえた上で安定性モニタリングをキッチリとやっていない限り、安定性モニタリングの規格割れは延々と続くことが危惧される。
 
*6:承認書と実態との齟齬については大問題であり、明らかに違反行為であるが、安定性モニタリングの規格割れによる回収については、齟齬回避で解決するものではない。もろ勝手な言い分だが、ロット数のみならず複数品目での回収が多い場合、承認書自体の疑義(少なくとも不備)を感じる。規制当局として、該当する製品の設備のクオリフィケーション(品目違いも同一設備の可能性が高いと推測する)とPVについてのデータと評価(規格設定と合格判定の根拠、さらにreproducibilityとrobustnessには注視する必要がある)、そのPV品の安定性試験(安定性モニタリングに限定されない)、それらを含む承認書における各データについて再調査を実施したほうが宜しいように思う。
 
*7:今般のロシアによるウクライナ軍事侵攻におけるプーチン大統領への戦果報告はそれを如実に物語っている。
 
*8:ラスボスを相手にするには、上記の注釈*7のような現象が生じると考えられる。ときに内部告発があった場合、根拠は無いが、その背景には、程度はともかくとして“ハインリッヒの法則”と同様の隠れた諸問題があると推測される。特に、地方の製造所であれば、転職覚悟での内部告発は転職先も少ないことから、よほどの正義感に燃えない限り内部告発そのものがし難いと言わざるを得ない。
 
*9:何となくだが、原発で「改善対策」と称しながら不祥事を繰り返す電力会社に似ているように思える。
 
*10:ここまで言い切ってくれる上級経営陣であれば、既に“qualified”されているような気がする。
 
*11:乱暴な言い方をお許しいただければ、意図的な違反ともなれば悪意の程度の差こそあれ「偽造薬」と同じです。
 
*12:医薬品製造業者・製造販売業者が、本話で述べたい「製薬会社としての正義」を全うしてくれていれば、改訂通知内に、これ見よがしとも言える「リスクの高い製造所については、原則、年1回以上の無通告調査を行う。」といった内容を追記する必要もなかったような気がしてならない。
・ 令和4年3月17日付 薬生監麻発 0317 第5号「GMP調査要領の制定について
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220323I0010.pdf
 
*13:日本製薬団体連合会・品質委員会としても、さすがに放っておけなかったということでしょうか。
・ 2022年3月29日付 日薬連発第234号「品質問題事案の再発防止に向けた取組みの周知徹底についてのお願い
http://www.toku-seiyakukyo.jp/data/drug_news/2022/1_16485279473859.pdf
・ 令和4年3月29日付厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課 事務連絡「品質問題事案の再発防止に向けた取組みについて
http://www.toku-seiyakukyo.jp/data/drug_news/2022/1_16485334184103.pdf

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