ラボにおけるERESとCSV【第20回】

c. 監査証跡
■ガイダンス要旨
▷監査証跡の意味
・監査証跡とは、確実で、コンピュータが生成し、タイムスタンプがついた電子記録であり、電子記録の生成・変更・削除に関する一連の事象を再構築できるものである。
・監査証跡は、2録の「誰が、何を、何時、なぜ」を時系列に記録したものである。
・たとえば、HPLC(高速液クロマトグラフィ)を走らせたときの監査証跡は、ユーザー名、日時、使用した積分パラメータ、および再処理の詳細を含み、その再処理における変更理由を含むこともある。
▷監査証跡のタイプ
  電子監査証跡には次の2つのタイプがある。
・データを生成・変更・削除した場合の履歴
データの生成・変更・削除とは、処理パラメータや処理結果などを生成・変更・削除することである。
・記録の操作やシステムレベルの操作を行った場合の履歴
記録の操作やシステムレベルの操作とは、システムへアクセスしようとしたり、ファイル名称を変更しようとする操作である。
▷CGMPに適合した記録管理の効果
・CGMPに適合した記録管理により、データが失われたり不確かになるのを防止できる
(§ 211.160(a)、§211.194、§212.110(b)を参照)
・監査証跡を含む電子記録管理であれば、これらのCGMP要件を満たすことができる。

解説
▷監査証跡の理解を深めるために、Part 11、Annex 11、厚労省ERES指針における
  監査証跡の説明を以下に転記する。
・§11.10(e)
コンピュータが生成しタイムスタンプがついた確実な監査証跡の使用。電子記録を作成、修正、削除するようなオペレータ入力や操作の日時を、監査証跡が独立して記録する。記録を変更する場合は、それ以前に記録されていた情報を残しておくこと。このような監査証跡の記録は、対象となる電子記録に求められる保存期間と少なくとも同一期間保存し、FDAのレビューおよびコピーに対応できること。
・Annex 11
GMPに関する全ての変更と削除の記録の生成機能(システムが生成する監査証跡)をシステムに組み込むことを、リスクアセスメントに基いて検討すること。GMP関連データの変更もしくは削除に対しては、その理由を記録すること。監査証跡は利用できるようになっており、一般的に判りやすい形式に変換できる必要がある。また、定期的にレビューする必要がある。
・厚労省ERES指針
正確なタイム・スタンプ(コンピュータが自動的に刻印する日時)が付けられた一連の操作記録
▷記録管理が規定されている条文
  §211.160(a)   試験室における同時記録
  §211.194     試験室記録
  §212.110(b)   記録の品質(PET製剤CGMP)
 

d. 静的記録形式と動的記録形式
■ガイダンス要旨
▷静的記録形式(Static)
紙記録もしくは電子画像のような固定されたデータ形式
▷動的記録形式(Dynamic)
ユーザーがデータを動作させることができるようなデータ形式
たとえば、クロマトグラフの動的データは、ユーザーがベースラインを変更しクロマトグラフデータを再処理でき、ピークを小さく表示あるいは大きく表示させたりできる。テスト結果や収率などの計算に使用するスプレッドシートの演算式や入力を変更できるのも、動的データの例である。

解説
たとえば、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)により脳検査を受けた場合、医者は脳の色々な断面を様々なモードで画像化して、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの頭部の病変の手がかりを調べる。このとき操作しているのは動的データである。この動的データを保存しておけば、違ったモードで画像化し、さらなる診断を行うことができる。一方、脳の断面を画像化した写真は、それ以上の解析を行うことができないデータ、つまり、静的データである。

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