【和訳】PIC/Sのデータインテグリティガイダンス【第2回】

2021/08/16 品質システム

【第2回】データマネジメント(いわゆるデータインテグリティ:DI)のPIC/Sガイドライン最終版の和訳です。

5 DATA GOVERNANCE SYSTEM/データガバナンスシステム

5.1 What is data governance?/データガバナンスとは?
5.1.1 Data governance is the sum total of arrangements which provide assurance of data integrity. These arrangements ensure that data, irrespective of the process, format or technology in which it is generated, recorded, processed, retained, retrieved and used will ensure an attributable, legible, contemporaneous, original, accurate, complete, consistent, enduring, and available record throughout the data lifecycle. While there may be no legislative requirement to implement a ‘data governance system’, its establishment enables the manufacturer to define, prioritize and communicate their data integrity risk management activities in a coherent manner. Absence of a data governance system may indicate uncoordinated data integrity systems, with potential for gaps in control measures.
5.1.1 データガバナンスとは、データの完全性を保証するための取り決めの全体である。これらの取り決めは、データが生成され、記録され、処理され、保管され、検索され、使用されるプロセスやフォーマット、技術にかかわらず、データのライフサイクルを通じて、記録の帰属性、可読性、同時期性、原本性、正確性、完全性、一貫性、永続性および利用可能性を保証するものである。データガバナンスシステムの導入は法律上の要件ではないかもしれないが、このシステムを構築することにより、製造業者はデータインテグリティに関するリスクマネジメント活動を一貫した方法で定義し、優先順位をつけて、伝達することができる。データガバナンスシステムがないことは、データインテグリティシステムが整っていないことを意味し、管理措置にギャップが生じる可能性がある。

5.1.2 The data lifecycle refers to how data is generated, processed, reported, checked, used for decision-making, stored and finally discarded at the end of the retention period. Data relating to a product or process may cross various boundaries within the lifecycle. This may include data transfer between paper-based and computerized systems, or between different organizational boundaries; both internal (e.g. between production, QC and QA) and external (e.g. between service providers or contract givers and acceptors).
5.1.2 データライフサイクルとは、データがどのように生成、処理、報告、確認され、意思決定に使用され、保存され、最終的に保存期間の終了時に廃棄されるかを意味する。製品またはプロセスに関するデータは、ライフサイクルの中で様々な境界を越えることがある。これには、紙ベースのシステムとコンピュータ化されたシステムとの間、または異なる組織境界(製造とQC・QAの間などの内部境界、およびサービス提供者間、または委託者と受託者の間などの外部境界の両方)の間のデータの移動が含まれる。

5.2 Data governance system/データガバナンスシステム
5.2.1 Data governance systems should be integral to the Pharmaceutical Quality System described in PIC/S GMP/GDP. It should address data ownership throughout the lifecycle, and consider the design, operation and monitoring of processes and systems in order to comply with the principles of data integrity, including control over intentional and unintentional changes to, and deletion of information.
5.2.1 データガバナンスシステムは、PIC/S GMP/GDPに記載されている医薬品品質システムに不可欠である。データガバナンスシステムの構築においては、ライフサイクルを通じたデータ所有権に対応し、情報の意図的・非意図的な変更および削除の管理を含むデータインテグリティの原則を遵守するためのプロセスおよびシステムの設計、運用および監視を考慮する必要がある。

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執筆者について

脇坂 盛雄

経歴 1979年エーザイ株式会社入社、9年間、品質管理と21年間、品質保証を担う。
専門領域はGQP品質保証、注射剤及び固形剤の異物対応、品質リスクの発見と低減対応 ・医薬品/食品の表示校閲、製品回収リスク回避対策 ・逸脱/苦情対応、変更管理(一変/軽微変更)対応。品質保証責任者(品責)、統括部長および理事を歴任し、2013年9月末に退職。
現在は企業のコンサル・顧問を行う傍ら講演会講師、書籍執筆などを精力的に行っている。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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