【和訳】PIC/Sのデータインテグリティガイダンス【第1回】

 データマネジメント(いわゆるデータインテグリティ:DI)のPIC/Sガイドライン最終版が2021年7月1日に発行されました。
 このガイドラインは実際にデータを扱う現場だけの問題だけでなく、上級経営者がデータガバナンスの視点から理解することや実践すべきことまで言及しています。ぜひ法令遵守に関するガイドラインの責任役員の方にも読んでいただきたいです。一度目を通すことでDI/データガバナンスのことを正しく理解する一助になります。現場でGMP不備が起きるか起きないかは、上級経営者の考え方&実践に大きく左右されます。日本電産創業者 永守重信氏の言葉「会社がおかしくなるのは経営者の考え方が間違っているからである」があります。このガイドラインはGMP&GDPのデータを扱う現場だけでなく、上級経営者のDIに関する適切な考え方を得るのにも役立つものです。
 改正GMP省令は2021年8月1日から施行されます。いくつかの新しい要求事項があります。その一つにDI対応が盛り込まれています。日本では欧米のようなDIのガイドライン発行は今のところ予定されていません。日本のDIは下記の3点(一~三)だと言われています。
一 作成及び保管すべき手順書等並びに記録に欠落がないよう、継続的に管理すること。
二 作成された手順書等及び記録が正確な内容であるよう、継続的に管理すること
三 他の手順書等又は記録の内容との不整合がないよう、継続的に管理すること。
四 手順書等若しくは記録に欠落があった場合又はその内容に不正確若しくは不整合な点が判明した場合においては、その原因を究明し、所要の是正措置及び予防措置をとること。
五 その他手順書等及び記録の信頼性を確保するために必要な業務
 これらは、GMPで当たり前のことです。今回それをあえてGMP省令で強調することで、今後のGMP適合性調査や無通告査察で記録を念入りに確認されるのではないでしょうか。
PIC/S GMP加盟国の日本もPIC/S GMPガイドライン実践する上においても、このガイドラインを参考に少しでも早くシステム構築と実践を行うことがよりよい結果を生み出します。そして、現場の作業者、試験検査の一人ひとりの実践が求められます。そのためには、マネジメント層が正しく理解することも重要です。
 具体的な項目については、FDAのDIに関する指摘事項を“過去問”として位置付けて、未対応で容易にできることは早めに対応していくことがよりよいDI対応構築につながると思います。それが昨今起きているGMP不正防止の一助にもなります。また、このガイドラインを読み合わせすることにより、DIについての理解も促進されると思います。その活動こそが、DIに関する教育・訓練にもなります。
この和訳がそれらに少しでも貢献できると嬉しく思います。不明な点は原文をご確認ください。なお、翻訳にあたっては、鈴木理絵子さんにご協力いただきました。

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