再生医療系若手技術者のための製造文書作成術【第1回】

 本稿は、これから再生医療に関わる若手技術者の方に向けた、製造文書を書くための具体的・実践的なTipsになっています。製造文書の業務においては、体系構築や管理法、GMPそのものについてのロジックなど大変よく解説されていますし、もちろん役に立つことも多いです。しかしながら、これらは「文書を書くことそのもの」を示唆するものではなく、実際に書いてみる以外、文書はなかなかスムーズに書けるようにはなりません。
そこで、製造文書を作成する方向けに「書く」上での注意点やポイントを複数回に分けてまとめてみたのが本稿です。初心者の方は勿論ですが、今現在作成に携わっておられる若手の方なら、最後のポイントをチェックしてみるだけでも役に立つように心がけました。

【最初に~SOP(作業標準書)をベースにして】
 2021年現在、再生医療に関わる人員は全体としてまだまだ少ないのが現状です。技術系や研究系の方も多いため「製造の文書を作成する」ことにかかる体系的な教育は、なかなか行われていないのが現状でしょう。しかし、再生医療に携わりながら、まったく文書を書かない、というわけにはなかなかいきません。何故なら細胞の安定した培養は、文書がないと成り立たないからです。
 いきなりGMPの上位文書を書け、と言われることはないでしょうが、作業プロトコールをSOP化する――というのは、おそらく再生医療にかかる業務では、至極一般的なパターンで、最初に作る機会が巡ってくるのは、やはりSOPが多いと思います。
 もし、このコラムをご覧になっている方に、懇切丁寧にSOPの書き方を若手に教えてくれる先輩がいれば、それはもう「僥倖」と言っていいと思います。レアです。その先輩や上司には、心から感謝なさってください。私の出る幕などありません、先輩の言うことを聞きましょう。そして、どんなに赤ペンで修正を入れられたとしても、くじけないで下さい! 泣く必要はありません、赤ペンの半分は優しさでできています(あとの半分は、過去に自分が入れられた赤ペンの記憶です)。
 さて、では「すでにひな形があるから、それを使って今固めている作業をSOP化してみて」というケースはいかがでしょう。これは多そうです。しかし、ワクの中をどう埋めていけばいいやら、他のできあがったSOPを見てみるものの、そのSOPの読みづらさと理解しがたさにむしろへこたれる、ということがまま起こります。あるいは、類似のSOPをコピペしてしのぐ、という対応もありえます。数字のところを書き換えて、あとはコピペです。その後どうなるかというと、そのSOPを読んだ別のメンバーが、読みづらさと理解しがたさにへこたれるのです。これは悲劇です。にも関わらず、時としてひな形すらないまま「作ってよ」と言われることもあるのが、SOPです。
 製造文書の中でも、筆者は山のような文書を作成してきていますが、SOPが作れない、という悲鳴をたくさん聞いてきました。そこでここから数回は、SOPをベースに、文書作成のポイントを列挙しようと思います。

執筆者について

経歴 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

コメント

コメント

投稿者名必須

投稿者名を入力してください

コメント必須

コメントを入力してください

セミナー

eラーニング

書籍

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

※関連サイトにリンクされます