GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第33回】

1.通報
 人は失敗した時、隠したがるものである。失敗して、非難されることを避けたい思い、責任取りたくない、賠償したくないと考えるからである。日本人は海外に比べて、「すみません」という言葉を使うことが多い。海外では、すぐ謝らないともいわれる。GMPでは、謝罪を求めていない。しかし、製造所の多くで、ヒューマンエラーの発生時に、始末書的な発想で、反省を求めていないだろうか。反省することにより、その問題点を作業者が自覚するように考えてのことと思う。エラーの多くが後に発見される。それは、作業者自身が、そのエラーにより、品質にどのように影響するかリスクを自覚していないために発生している。また、自身の失敗を隠そうとの思いによるものである。エラーをしたことで、叱られる、反省文を書かなければならなければ思えば、当然であろう。しかし、根本としては、そのエラーが品質にいかに影響するかを理解していないことで、報告が遅れ、対応ができなくなることも起こる。いかに早く逸脱発見報告をすることで、品質への影響を低減できるかを作業者が理解することが重要である。
 コロナ禍において、「自粛警察」が報道された。「公園で子供が遊んでいる」や「パチンコ屋や飲食店が営業している」などを110番したり、SNS等で拡散させることが起こっている。正義感から善意で行っているつもりだろうが、自分が守っているのに、他人が守らないと許せない気持ちが働くものである。問題発生時の通報システムが、告げ口とならないようにすべきである。査察や監査において、ついつい悪いところ探しになることがある。何も指摘しないことがいけないかのように、文書の誤字脱字、「てにおは」を指摘しても、意味がない。その誤記により、その手順を間違い、品質に影響することを伝えなければならない。手順書などのルールを守っていないといけないと思う気持ちは大事だが、そのルールが作成された意義を理解することが必要である。つまり、その手順から逸脱することで、どのように品質へ影響するか、そのリスクがどこにあるかを理解することが重要である。
 私の経験であるが、査察時に指摘した事項を理解されないことがあり、議論することもよくあった。手順書に記載されているから、やっている。以前の査察や監査で言われたから、やっていることも多いのではなかろうか。何故、その作業が必要か、その工程を行っているかの意義を知らなければならない。査察官は、その製造所の品質システムをすべて理解しているわけではない。場合によっては、そのとおりのことの実施がなくても、別の方法や別の面からのシステムがあり、そのリスクが発生することがなければ問題ない。査察や監査で、議論もせず受け入れるのではなく、きちんと自身の製造所におけるシステムを主張できるだけの知識を作業者は持っていなければならない。
 大事な点は、
①    何が逸脱になるのか、どの行為が逸脱かを明確にすること。
②    その逸脱により品質に影響するリスクの有無と影響度を把握すること。
③    品質への影響するリスクの発生度を見極めること。
問題点を問題と認識できなければ、発見報告も通報や指摘もできない。問題点を認識するには、その影響するリスクを考えられなければならない。リスクを考えるためには、過去のCAPAの実績を把握することが欠かせない。

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