GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第32回】

1.働きアリの法則
働きアリの法則を耳にされた方も多いだろう。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』1) 働きアリの法則
概要
・働きアリのうち、よく働く2割のアリが8割の食料を集めてくる。
・働きアリのうち、本当に働いているのは全体の8割で、残りの2割のアリはサボって
 いる。
・よく働いているアリと、普通に働いている(時々サボっている)アリと、ずっと
 サボっているアリの割合は、2:6:2になる。
・よく働いているアリ2割を間引くと、残りの8割の中の2割がよく働くアリになり、
 全体としてはまた2:6:2の分担になる。
・よく働いているアリだけを集めても、一部がサボりはじめ、やはり2:6:2に分かれ
 る。
・サボっているアリだけを集めると、一部が働きだし、やはり2:6:2に分かれる。
 新型コロナ禍の中、政府は、不要不急の外出を控えるように要請している。日本の緊急事態宣言は罰則もなく、強制力がない。海外では、ロックダウン(都市封鎖)され、許可なく外出をすると罰金等の罰則があり、強制力がある。しかし、人は、罰則があるからそのルールを守るとは言えないと思う。現に、日本では、緊急事態宣言が発出されて、首都圏の人出は減少している。人の接触8割減を目指して、努力している方も増えている。しかし、一部の人は、コロナ疎開など危機感もなく、外出している人もいる。生活上、必要な外出をされている方も多いだろうが、今、外出しないと生命の危機があるほどではないと思う。働きアリの法則に当てはめると、あるルールが提示されても、2割の人はそのルールを守らないことになる。そして、積極的にそのルールを守る人だけを集めても、その2割がルールを侵す恐れがある。問題点は、そのルールをなおざりにする2割の人の行動を見て、6割の人たちがそこに同調することが起こりうるのである。トイレットペーパー不足デマで、多くの人が購入に走った。テレビ等のインタビューで、デマと思った方も、マスコミの報道で、トイレットペーパーが空になった陳列棚を見て不安になったのである。大事なのは、この6割の人たちをどのようにマネジメントするかにある。
 製造所において、任せて安心な優秀な人材は2割はいるはずである。しかし、物覚えが悪く作業が滞る人材も2割はいるだろう。作業が滞る人材を見て、大多数の6割の者から不平不満が出てくる。2割の人材を異動させても、そのグループの中では、また、働きアリの法則によれば、2割の者が働かなくなるのである。優秀な者だけ集めて、プロジェクトを組んでも、2割は働かず、6割の者は普通の人になってしまう。マネジメントとして重要なことは、すべての者を平等にすることではなく、その工程や作業全体が円滑に進むように、適材適所に配置することである。2割の優秀者に頼るのではなく、6割の者とともに、8割を有効活用できるシステムを構築することが必要である。実はさぼっている2割のアリは、緊急時に、よく働くアリや普通に働くアリが働けなくなった時、対応ができるように準備をしているそうである。働かないアリにも、働かない理由があり、たださぼっているわけではないのである。

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