DMF 各国別 eCTD/eSubmissionの実際(作成・登録・更新・変更・LOA)【第8回】

2020/05/01 製造(GMDP)

Type III DMFは当初2020年5月5日以降から義務化される予定でしたが、2020年2月をもってType IIIはeCTD申請義務免除となりました。代わりに、eCTD申請をしない場合にはCTD形式に則ったPDFファイルでの申請(FDA呼称はAlternate Electronic Format。本稿では、便宜上NeeSと表記)を推奨しております。4月に入ってからはその具体的な方法が少しずつ明らかになってきています。今回は、FDA DMF Webpage、CDERからのメール通知、ガイダンス等を参考にしながら、Type III DMFをNeeS形式で電子送信する方法について、概要を説明いたします。」

1. 参考ガイダンス
FDA NeeS申請のために読んでおくべきガイダンスとその概要を下記に記します。なお、前回までに既に紹介したガイダンスについては一部省略します。

1) Providing Regulatory Submissions in Alternate Electronic Format – Guidance for Industry - Draft Guidance, March 2020 (FDA NeeS申請の全体像を記したDraftガイダンス)
2) The Comprehensive Table of Contents Headings and Hierarchy (eCTD及びNeeS形式のフォルダ構造、セクション番号、セクション名称をM1からM5まで羅列)
3) Portable Document Format (PDF) Specifications (eCTD適合PDFの仕様を細かく解説)
4) Container Closure System for Packaging Human Drugs and Biologics- Guidance for Industry- FDA,  May 1999 ( Type III DMFの記載項目の原則の説明があります)

2. eCTDとNeeSの違いと共通点
eCTDとNeeSの大きな違いは、XMLファイル及びこれに付随して必須となるutilフォルダ全体が必要か否かという点にあります(index.xml、us-regional.xml、DTD、スタイルシート等。)。また、NeeSでは、XMLに代わるナビゲーターとして「その申請で提出する全てのファイルへのハイパーリンクを付したTable of Contentsを、トップレベルフォルダ(0001等のSequence No.フォルダ)と同じレベルに置くこと」としています。eCTDではナビゲーターとしてのXMLは2つあり、index.xmlはトップレベルフォルダの下に、us-regional.xmlはm1/usフォルダの下に別々に格納します。ナビゲーターが1つか2つか、またその格納の位置の違いにも注意が必要です。(XML、utilフォルダについては本連載第5回を参照)

但し、上記の違いを除けば、eCTDとNeeSにはほとんど違いはありません。NeeSであっても、Pre-assigned DMF No.は事前に取得し各PDFのヘッダー等に記載する必要があります。PDF自体もただWordをPDFに変換すればよいのではなく、eCTDと同様に目次・しおり・ズーム設定等、上記3)のガイダンスに従って作成しなければなりません(本連載第5,6,7回参照)。フォルダ構造も上記2)を参考にしながらICH Guidanceで規定されているフォルダ構造を作成し、決まった位置にPDFを格納する必要があります。

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執筆者について

宮原 匠一郎

経歴 1977年東京大学大学院薬学系研究科修士課程修了。同年三井東圧化学㈱(現三井化学㈱)入社、大牟田工場、生物工学研究所にて原薬、蛋白゙及び医薬原料化学品のGMP下でのプロセス検討、企業化(合成、発酵、細胞培養)に従事。
1991年より本社医薬・バイオ事業部門にて新薬開発、医薬品子会社の事業管理を担当。
2000年より医薬関連の原料化学品事業を担当。2006年より品質保証部門に移り医薬関連原料化学品、精密化学品の品質保証を担当。
2011年5月退職、同年9月株式会社ファーマ・アソシエイトを設立。現在はDMFのeCTD/eSubmissionの作成・登録サポート、GMP代行監査、医薬・医療機器関連コンサルタントを業務としている。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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