WFI製造プロせすへの思い【第25回】

 非蒸留法(non-distillation method)によるWFI製造が広まる段階で、欧米諸国より来訪する査察官に対する対応は、WFI水質データが従来法と同等であることを示すことでは不十分である。
 蒸留法(distillation method)が永く一般的であったことにより、彼らが見たこともないシステムからWFIが流出する現実を、不思議な目で見つつどこかに蒸留器を隠しているのではないかとまで疑いを持つかもしれない。
 先ずは、従来法に対する基本知識を持つこと、次に、蒸留法に内在しており、いずれ水質を悪化させることになる要因を低減して、より安全なWFIを製造するためにnon-distillation methodを位置付けるのが、彼らを納得させやすいと考えます。
 先人達(尊敬の念を込めて呼ぶ)は、従来法を絶対視せず、できるだけ蒸留器に対してエンドトキシン負荷をかけない努力を行ってきました。
 蒸留器に内在する不安な要素を、1つ1つ削減しつつ「WFI製造プロせす」を、「プロ」で立ち止まり、あれこれ考えつつ「せす」へステップ・アップしてもらいたく、この連載の最終テーマとします。
 
1. 蒸留
 蒸留は蒸発と凝縮という2つの操作から成り、蒸発操作では液体を蒸気へ相変化させ、凝縮操作では蒸気を再び液体へ戻します。
 加熱・冷却、この相反する操作ができる容器を使って「蒸留水」を製造することができます。加熱・冷却の位置関係は、近いと反応が完結せず、遠いと別の現象が起こります。
蒸留法は濃縮と分離という2つの用途に使いますが、どちらかと言えば濃縮が工業界では多く使われ、原理的にも適しているのですが、WFI製造は後者の分離用途で使います。
 元の水(=精製水)に含まれる不純物を、できる限り蒸発工程で発生した水蒸気へ混入させない操作が、WFI製造のための蒸留へ求められます。
 
2. 蒸留器
 蒸発は、蒸発缶の中にある熱交換器チューブ表面で行われます。続いて凝縮は、コンデンサー内にある熱交換器チューブ表面で行われますから、WFIは、コンデンサー内熱交換器チューブ表面で生まれることになります。
 精製水中に含まれる不純物は、蒸発によって被蒸発液中に残留しますから、蒸発操作の確実性(=水蒸気中への水滴混入率)が、WFI製造装置としての能力を決めるポイントになります。蒸発操作による不純物分離イメージを示します。


執筆者について

経歴 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

コメント

コメント

投稿者名必須

投稿者名を入力してください

コメント必須

コメントを入力してください

セミナー

eラーニング

書籍

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

※関連サイトにリンクされます