GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第7回】

1 できないことを書くな!
 
 時々、どうしてこんなにも厳しいというか、行うことが難しいのではないかと思われるSOPを査察時に見ることがあった。そんな時は、このSOPで、本当に動けるのか質問することもあった。本来、製造方法等のSOPは、バリデートされてなくてはならず、検証されていない手順で管理はすべきでない。バリデーション実施前に、SOPを制定承認してはならないのである。CAPAや変更管理において、手順が規定されていないのでまだ、実施できないといわれることがあるが、その是正措置やリスク分析での低減策が有効であることを確認して、手順書を定めるべきである。SOPを制定し、実施したところ、バリデーションが成立しなかったり、是正措置や変更処置が有効でなかったり、想定外の影響が出ては、品質の保証が取れないことになる。SOPを制定するのは検証された手順でなければならない。それが「できないことを書くな!」の意味である。きちんとできることを確認してから規定しなければならない。受託製造等で、大手の製造販売業者の監査の指摘で、こうでなくてはいけないと指摘をされ、取り入れたが、その作業を行うには人員不足や設備の老朽などで対応できないこともあるだろう。作業者が十分理解できないことも考えられる。中小の製造所では、各責任者を兼務することも多い。変更管理責任者と逸脱管理責任者を兼務しているのに、逸脱の是正措置として行う変更を変更管理として処理することにし、逸脱責任者から変更管理者に連絡すること規定して、意味があるだろうか。組織は各製造所で異なり、業務の進め方も異なる。そのままどこかの手順書を持ち込んで、使用するのは無理である。
CSVの管理においても同様である。ガイドライン等で示されている手順書をそのまま規定している製造所も多い。では、その手順書を適切に使用しているだろうか。自分の身の丈に合わせているだろうか。生産管理システムMESや品質管理システムLIMSなどさまざまシステムを導入する製造所も多い中で、そのシステムを自身の管理ときちんとマッチングさせなければならない。責任者が兼務ばかりで、手順書の制定の際、肩書違いで何度も同じ人物が審査や照査、承認として、捺印する場合、そのままシステムに取り入れると、電子署名を何度もすることになる。せっかく、システムを導入することで、ペーパーレス化、回覧決裁の効率化を図っても、無駄が生じることになる。
 教育訓練を承認された手順書に基づかないといけないと考え、手順書が承認、制定された後、有効(発効日等の設定をする)となる前に教育訓練を実施する製造所もある。新規品目の場合、技術移管としてバリデーションを実施し、製造現場の教育訓練とする場合もあろう。いずれの場合も、製造所として、手順書の制定日や発効日と、バリデーションや教育訓練のスケジュールを総合的に判断し、薬事の手続きも考慮の上、変更管理を適切に処理しないと時間を浪費することになる。GMPは効率的に処理することを阻むものではない。変更前に文書の改廃及び教育訓練を実施するよう、品質リスクマネジメント1)を用いて適切の処理しなければならない。
 

<図1 典型的な品質リスクマネジメントの概要>

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