医薬品の技術移転のポイント【第27回】

  • 訪問者は自社の製造のことも把握している
     監査において相手側から尋ねられることがたびたびあります。そのためにもできるだけ自製造所の実態を把握しておく必要があります。当局の監査は適合の判断ですが、私たちが行う監査は指導も兼ねています。相手から尋ねられたら答えることです。相手も学びたいのです。そのためには普段から下記に努めることです。
    • 工場体験の無い人は製造所を何度も見ておく
    • GMP課題になっている課題を把握しておく
    • PMDAのGMP適合性調査時の指摘事項や改善命令、第三者委員会の報告事項、講習会での指摘事項紹介、今ならオレンジレターに目を通しておく
 これらを過去問と呼んでいます。学校や資格試験を受けるとき、過去問を勉強します。何故なら多くがそこから出るか、類似の問題が出るからです。GMPも同じです。

 まだ、GMPをどこまでやれば良いか迷います。簡単です。過去問対策をしていればよいのです。100%する必要はありません。80%していて、指摘されることが多少あっても良いとの考えを持っています。何故なら、100%することはとてもコストがUpするからです。

  • コミュニケーション時に心掛けること
     製造所で物を造っている、品質保証がされているのです。それにより製品の品質が確保されているとの感謝の気持ちをベースに持つことです。
  • コミュニケーション技術がある。
     コミュニケ―ションで一番大切なことは、相手の話を聴くことです。相手が話し終わるのを待ってから、疑問に思うことがあれば尋ねることです。先ずは相手を理解することです。相手側の製販への要望事項がないか確認することです。委託先の製造所が困っていることを解決してあげることです。それがwin-winの関係を築きます。
  • 買う側の横柄な立場は持たず、相手を尊重する。
     どうしても購入側が力を持っています。それを意識して相手を尊重することです。
  • 信頼関係を構築する。信頼関係を構築するように努めることです。騙そうとか、少しでも相手側より利益を得ようなど思わないことです。相手が損したと思うとどこかで必ず取り戻します。
  • 自分を知って貰う(敷居を下げる)
     自分を知ってもらうことはとても大切になります。そこで監査以外の話題も話し合うようにしていました。特に導入時は別の話題を話すようにしていました。
    • 自分を知って貰うこと
      • イタリアの委託先では、イタリア語でお礼を述べたらとても喜ばれました。
      • フランスの委託先では、手品で絆を強調しました。赤いハンカチを消す簡単な手品です。何もないところから赤いハンカチを出します。その時に、フレンドシップと書いた紙切れも同時に出します。そして今度赤いハンカチを消すときにワザとその紙切れを落としました。そこで一言、「赤いハンカチは消すことができましたが、滞在中に生まれたフレンドシップは消すことはできません」と言うと、喜んでもらえます。このように相手に覚えてもらうと、後日何かメールで依頼する場合もレスポンスが良くなります。日本国内でも言えることですが、海外だとなおされ、現地を訪問し同じ時間を過ごすことが重要になります。
        異動で製造所工場を去る時に泥鰌掬いを披露しました。その製造所勤務1年でしたが、「泥鰌掬いの人」と覚えてもらいました。
  • 相手にとっても有益になる(布施の精神)
     できるだけ自社の情報を提供することで相手側にメリットが出るように心がけていました。
  • 相手を知る(関心を持つ)
    ホームページから情報を事前に得る。
     ある富山の会社には配置薬の記念館がありました。そのことを事前にHPで知ったので、見学させてもらいました。また、「江戸城腹痛事件」が配置薬が始まったきっかけで、お薬の富山を築いたきっかけになったことを知りました。
     配置薬の考え “先用後利”
    • 薬は高価 事前に買うお金がない
    • 多くの人に薬を提供したい
    • 使った分だけ支払う
      別の富山の会社 シルクロードの土器記念館があり見学させていただきました。

 

 

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