オーナーのプロジェクトマネジメント【第17回】

  前回に引き続き、製作・工事ステージについて記載する。
 
参考 以前に記載した記事の目次
 1.  はじめに
 2.  プロジェクトステージの概要
 3.  何をマネジメントするか
 4.  プロジェクト計画に関連する主要な問題点
 5.  プロジェクトマネジャーの役割と責務
 6.  プロジェクトマネジャーの資質
 7.  プロジェクトで使用することば
 8.  外部への依頼範囲
 9-10. FS(Feasibility Study)ステージ
11-13. 基本計画(概念設計)ステージ
14-16. 基本設計ステージ
 17. 発注方式
 18-19. 詳細設計ステージ
 20. 製作・施工ステージ【その1】

21. 製作・施工ステージ【その2】
 第1回の表1に記載したが、製作・施工とは詳細設計に基づき機器類の工場製作・搬入、現場での建設工事を行うステージである。通常は、サプライヤーや施工会社によって、当該設備・施設の工場製作、現場での施工、およびそれらの製作検査・工事検査を行う。施工段階というのはプロジェクトの中で、コスト、工数の最も多くかかるステージであり、それだけに多くのリスクが潜んでいるといえる。しかし、製薬企業側は施工マネジメントについてあまり関与していないのが実情である。
 ​また、製作・施工のステージと検証ステージとの区切りは、企業などによって異なるが、ここではISPE日本本部EM COPでは以下のように定義しており、ここではそれに従う。
現地工事終了とは:現地における建築、機器据付、配管、空調、電気、計装、システム、塗装、断熱、掃除片付け等、それぞれの工事が終了した時点をいう。ウォークダウンが終了し、予め規定されたパンチリストの残件を除いて終了していること。また、中間検査に関する検査/試験記録のレビューが終了していること。現場の片付け清掃が終了していること。 現地工事に対する最終的な各検査試験は現地工事検査のカテゴリー(検証のステージ)に含む。

(1)施工準備
 第15回の19(7)施工計画で簡単に触れたが、もう少し詳細に記載する。施工準備の実施される時期は詳細設計の時期であり、より優れた施工計画を立てることにより工期の短縮やコスト削減、プロジェクトの好品質を得ることになる。

施工計画の主たる要素は
① 施工現場について
  ・施工レイアウト
  ・搬入計画
  ・施工手順
  ・施工性
  ・施工上の制約事項
  ・施工上の許認可
  ・施工の安全計画
  ・火災予防など防災計画
  ・施工時の環境対策(騒音、振動、排水、建設廃棄物など)
  ・施工現場付近の操業中設備への安全対策
② 施工方法
  ・プレハブ施工、モジュール工法、現地施工
  ・医薬品設備向けの施工方法
  ・テストや検査、およびクオリフィケーションなどに沿った施工
③ 総合マネジメント
  ・スケジュールとコスト計画
  ・組織体制、要員計画
  ・進捗管理、出来高管理
  ・プロジェクトの品質管理
  ・リスクマネジメント
  ・チェンジマネジメント
  ・文書リストと文書管理
④ 施工時に実施するテスト検査類の計画
  ・機器や納入品の現地入荷検査計画
  ・施工中の検査(施工完了後にできない検査)の計画(配筋検査など)
  ・施工中の検査とクオリフィケーションとの関連
⑤ 施工以降の検証ステージの準備
  ・施工から検証ステージへの引渡計画
  ・プレコミッショニング(施工完了後の現地工事検査)計画と
   クオリフィケーションへの引用
  ・コミッショニング&クオリフィケーション計画
  ・教育準備

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