オーナーのプロジェクトマネジメント【第3回】

2015/04/30 施設・設備・エンジニアリング

星野 隆


 第3回ではプロジェクトマネジャーに関する内容を記載する。個々に記載する内容は、オーナー側のプロジェクトマネジャーだけではなく、受注側のプロジェクトマネジャーにも当てはまるといえる。
 

5. プロジェクトマネジャーの役割と責務
 オーナー側のプロジェクトマネジャー(以降はPMと表現する)の役割を誤解している場合が多い。例えば図5.1のようにオーナー側からコントラクターにプラント全体をランプサムi で発注したとする。全体を一括発注したので、全てコントラクター側のPMが全責任をもってプロジェクトマネジメントをしているので、オーナー側のPMは一切関与しないということがよくある。もちろん、発注契約の範囲内での責任はコントラクターにあるが、発注したとしても、全てのプロジェクトの総マネジメントはオーナー側のPMの重要な責務である。コントラクター側のPMをコントロールするのはオーナー側のPMである。もちろん、オーナー側のPMがコントラクター側のPMと同じことをマネジメントする必要はないし、同じ技術能力を持つ必要性もない。オーナー側のPMは、コントラクター側のPMから、必要な情報を得て、プロジェクト全体をコントロールするので、より上位のマネジメントが必要となる。
 

図5.1

 

hoshino-01-03-01.PNG

 一般的に、オーナー側のPMはコントラクターのPMよりプラント建設という面では技術的には劣るが、恐れることはない。コントラクターのPMからの報告、PMの活動状況、コントラクターなどから判断して

・コントラクターのPMの報告は正しいか、都合の良いことばかりを報告
 していないか

・コントラクターのPMの報告に不明瞭な点はないか 誤魔化しはないか

・コントラクターのPMの報告は理路整然としているか

・コントラクターの設計に問題はないか

・コントラクターの工事は図面や仕様書と異なっていないか

・コミッショニングやクオリフィケーションは、プロトコールと異なった
 ことをしていないか

等の観点から、それぞれの状況を注意深くチェックすることである。
 

3ページ中 1ページ目

執筆者について

星野 隆

経歴 1971年3月大阪大学工学部機械学科卒業後、同年4月武田薬品工業(株)に入社。2014年3月の同社退社までの間、同社および同社の関連会社における建設工事において、プロジェクト業務に携わった。プロジェクトの種類としては、医薬品、ビタミンバルク、調味料バルク、化学品、農薬等の生産施設をはじめ、研究所の建設にも携わった。また、国内外のプロジェクトや、他社との共同プロジェクトにも参画した。また、メンテナンスやユーティリティ部門のマネジャーの経験もあり、総合的なエンジニアである。
社外の活動としては、ISPE(国際製薬技術協会 : International Society for Pharmaceutical Engineering)の日本本部理事、常任理事を歴任。日本プロジェクトマネジメント協会理事。
現在は、個人コンサルタントStar Enterprise(プロジェクトマネジメント、エンジニアリング、イベント企画)。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

24件中 1-3件目

コメント

この記事へのコメントはありません。

セミナー

2025年5月30日(金)10:00-16:30

バイオ医薬品の開発とCMC戦略

2025年7月2日(水)10:30-16:30~7月3日(木)10:30-16:30

門外漢のためのコンピュータ化システムバリデーション

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

株式会社シーエムプラス

本サイトの運営会社。ライフサイエンス産業を始めとする幅広い産業分野で、エンジニアリング、コンサルティング、教育支援、マッチングサービスを提供しています。

ライフサイエンス企業情報プラットフォーム

ライフサイエンス業界におけるサプライチェーン各社が提供する製品・サービス情報を閲覧、発信できる専門ポータルサイトです。最新情報を様々な方法で入手頂けます。

海外工場建設情報プラットフォーム

海外の工場建設をお考えですか?ベトナム、タイ、インドネシアなどアジアを中心とした各国の建設物価、賃金情報、工業団地、建設許可手続きなど、役立つ情報がここにあります。

※関連サイトにリンクされます