【インドの製造所に対するFDAウォーニングレター】ASTROM通信<95号>

株式会社プロス発行のメールマガジン『ASTROM通信』のバックナンバーより記事を抜粋し、一部改編をしたものを掲載いたします。

本稿は【2016.4.1】に発行されたものです。
記事の原著は、こちらでご確認下さい。 ASTROM通信バックナンバー


こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

今日から平成28年度が始まりましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

さて今回は、2016年3月3日にFDAの製造品質オフィスよりインドの製薬会社に出されたウォーニングレターについて取り上げたいと思います。
ここ最近取り上げてきたウォーニングレターは、コンピュータの記録に関して指摘しているものが多かったのですが、今回は設備や運用に関する指摘が多くなかなか興味深いです。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


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ウォーニングレター
WL:320-16-08 2016年3月3日 インドの製薬会社に対して(一部抜粋)
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2015年1月27日から2月4日にインドの製造所で行われた査察において、最終医薬品の製造に関し、CGMPからの重大な逸脱が確認された。

1.無菌とうたっている医薬品への微生物混入を防ぐための適切な文書化された手順を作ってそれに従うことを怠り、また、全ての無菌および滅菌工程のバリデーションを怠った。

■注射製剤の無菌処理技術の不足
a.オペレータは、ISO 7エリア(グレードB,10,000クラス)で汲んだ水をISO 5エリア(グレードA,100クラス)の充填ラインにおいてピストン駆動部の部品を湿らせるのに使用した。
b.オペレータは、無菌充填作業中に、充填ラインの下の床を手と膝で這った。
c.オペレータは、開いているバイアルの上に、手でバイアルを移動させた。
d.セットアップ時、オペレータは、袋に入っていない滅菌済道具を、ISO 7エリアからISO 5エリアの充填エリアの閉栓装置の近くに動かした。
e.ISO 7エリアでの荷卸中、オペレータは滅菌済蓋を容器から床に落としたが、そのまま拾って容器に戻した。
f.充填室にて、無菌充填作業前に無菌製剤をセットアップ中、オペレータはゴーグルを額につけ、肌をさらした。
g.オペレータは、ラインのバイアルを調整または取り除くために、RABS(Restricted Access Barrier Systems)を使用する代わりに素手でラインの覆いを開いた。
h.オペレータは、保護されていない滅菌済RABSをISO 5エリアからISO 7エリアに運び、その後、可動式のエアーフローをISO 5エリアに運んだ。
貴社のクリーンルーム内の行動および無菌作業の手順は、オペレータが床に触ったり、開いているバイアルの上に寄ったりすることを禁止しているが、オペレータはそれらのことを行っている。

■滅菌手順不足
貴社のバリデーション報告内で、従うべきRABSの使用パタンについて言及しているが、オペレータは従っていなかった。

■設備設計
貴社の設備は、製品に対し更なる汚染リスクがあることを示している。例えば、従業員は、他の業務をするために、充填機械の下を這っている。装置を円滑に動かすために、充填機械の下から水を汲むことは、装置の設計や適格性評価についての懸念も引き起こす。

貴社の回答はFDAにより点検されたビデオ記録のレビュに限定されていて、滅菌手順不足とそれに伴うリスクを判断するための全てのビデオ記録の評価を含んでいない。

このレターへの回答の中で、2014年11月から査察終了までに製造したバッチをリストアップし、それらの記録についてのサードパーティの評価を含めてください。また手順の改訂を述べた詳細のアクションプラン、従業員の教育、誰がどのようにビデオ記録を評価しているかについても回答してください。

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