医薬品の技術移転のポイント【第11回】

2)委託に伴う製造販売承認書齟齬発見(カルナロウバロウ)
回収理由
 回収着手平成25年3月26日
 光沢化剤としてカルナウバロウを微量(0.1%未満)使用しており、この成分が、承認書に記載がないまま使用されていることが判明した為、市場に流通している使用期限内の製品を自主回収させて頂きます。

回収理由 回収着手平成28年9月9日
フィルムコーティング工程において、医薬品製造販売承認書に記載されていないカルナウバロウ(光沢化剤)が製品に添加されていたことが確認されたため、市場に流通している使用期限内の製品を自主回収させて頂きます。(3社が回収、委託先が同じ)

 平成25年3月26日時点で、何故確認して是正されなかったのでしょうか?
 この事例を通信講座に載せ、3社のQAはなぜ最初の他社の失敗事例があったとき、それを“他山の石”として自社製造所と委託先で同じことがないかの確認をされなかったのかと記載しました。偶然3社の1社の人が通信講座を受講していました。テキストの記載「3社のQAは何をしていたのか?」に苦情が来ました。「私たちQAはやるべきことをやっていた。委託先にもGMP監査をしていた」とのことでした。説明不足は謝り、以下の点を説明しご理解いただきました。
「QAは結果責任を負います。GMP監査をしたからQAが責任を果たしたことになりません。他社で起きた問題が自社や委託先で起きていないかを確認します。GMP監査で承認書に記載されていない添加剤を使っているかどうか」

 カルナウバロウは艶出しや充填ラインでラインの滑りをよくするために使われています。タルク、ステアリン酸Ca/MgもPTPポケットに入りやすくするために昔はよく使われていました。まるで魔法の粉のように、それが包装でのPTP充填技術の一つでした。しかし、レギュレーションが厳しくなり、承認書に記載がないものは、ラインで使用することは承認書齟齬になることが明確になりましたので、昔行っていたことの見直しが必須になっています。
 こういうことはなかなか気付きません。他社の回収などから知ることができるのです。

3)海外の製造所移管時に製造販売承認書通りに造れない
 カプセルの海外製造所の閉鎖に伴い製造所移転することになりました。日本での製造を検討しましたが、空気を充填するだけでもコストがUpすることがわかりました。そこで海外の製造所に委託することなり、海外の製造所から他の海外の製造所に技術移転することになりました。ところが下記の問題点が明確になりました。
 ・添加剤の量が製造販売承認書の処方量と違っている
 そこで処方に合わせる製造方法の検討を行いました。様々な試作を行って検討しましたがうまく行かずかなり苦労しました。20数年前の出来事でまだ承認書に製造方法が記載されている前でした。今だと海外で製造しているものが製造販売承認書通り製造されているかの確認が必須になっています。古い製剤ほど見直しが必要です。

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