WFI製造プロせすへの思い【第2回】
2. 三極適合という便利な言葉
三極適合という便利な困った言葉があります。WFI設備を導入する際に装置メーカーへ「三極適合で~」と伝えれば、最終装置は蒸留器になります。三極適合は、米国・EU・日本を含めた3行政体における医薬品製造に関する基準に適していることを意味します。
医薬品取引は地球規模になりましたが、この3行政体基準に適合すれば、国際間取引がスムースに進むとの考えからです。我々は、国際取引を開始する際に輸出先の基準を事前に調べ適合しておき、査察の際に指摘が少なくなるように努めてきました。
WFI製造は、長く蒸留器によって実施されてきました。日本薬局方においてもJP11改正(1986年)までは、各条に「注射用蒸留水」という項目がありました。その後、日本と米国は、膜装置によるWFI製造を薬局方に収載しましたが、EUはWFI製造法に対して、蒸留法によることへこだわって “ production of WFI is limited to distillation only ” としてきました。
2002年1月にCPMP/CVMP(欧州薬局方品質と査察専門調査委員会)は、「WFIは蒸留だけにより準備されるべきである」と調査結果を発表しました。以下に欧州薬局方調査委員会からの見解を原文で紹介します。
CPMP/CVMP(欧州薬局方品質と査察専門調査委員会)見解1
上記内容は、「現在、WFIを生産するためにROの使用を支援するには証拠が不十分であり、安全が懸念され、ヨーロッパ薬局方(Ph. Eur.)において、WFIは蒸留器だけにより準備されるべきであると会議は終了した」(訳文は筆者)との意の調査結果を発表しています。
CPMP/CVMP(欧州薬局方品質と査察専門調査委員会)見解2
ここには、「CPMP/CVMPは、最近WFIの準備のためのRO水の使用を再考した。ROによる水の生産およびそのテクノロジーを結び付けたものは、信頼性が蒸留に対して不足していると考えられ、関係する潜在的なリスク、例えば膜の劣化(化学的と生物学的)、効果的な検証の不足、膜完全性の不足と故障について残留する入手可能な証拠について検討した。それゆえ、現在の見解はWFIのためには高度精製水が容認できないことである」(訳文は筆者)との意が記載されています。
2015年4月になって、EDQM(European Directorate for the Quality of Medicines )からmonograph for Water for injection (0169) revision が発表され、2年後2017年4月に、いよいよ“ will became effective ”となるのです。日本において、これと同様の改正が成されたのが、1988年ですから、28年の長い年月が経過しました。
筆者はこの間に、PHARM TECH JAPAN 誌(じほう)へ「蒸留器チャレンジテストによる考察」を1995年に発表して以来、「WFI製造のファイナル機器として蒸留器が最適なのか」という視点から問題提起を続けてきました。
最近では、2013年11月には、「いまだにEU薬局方において蒸留器のみがWFI製造の手段とされていることが残念でならない。日本がPIC/Sへ加盟し、都道府県の薬務の担当者が、患者の安全性という視点から、製薬用水システム査察を実施することにより、RO膜の後段かつ蒸留器の前段に、UF膜が設置されている目的とその現実が正しく理解されると考える。その査察結果を正確に世界の行政関係者が集うPIC/S査察官会議にて、有用な情報提供として伝え、その結果として、本件が改善されることを見守りたいと思う。」PHARM TECH JAPAN Vol.29 No.13(2013)81page ATSUSHI NUNOME PIC/S and Pharmaceutical Water Part 3 を執筆しました。
三極適合という便利な困った言葉があります。WFI設備を導入する際に装置メーカーへ「三極適合で~」と伝えれば、最終装置は蒸留器になります。三極適合は、米国・EU・日本を含めた3行政体における医薬品製造に関する基準に適していることを意味します。
医薬品取引は地球規模になりましたが、この3行政体基準に適合すれば、国際間取引がスムースに進むとの考えからです。我々は、国際取引を開始する際に輸出先の基準を事前に調べ適合しておき、査察の際に指摘が少なくなるように努めてきました。
WFI製造は、長く蒸留器によって実施されてきました。日本薬局方においてもJP11改正(1986年)までは、各条に「注射用蒸留水」という項目がありました。その後、日本と米国は、膜装置によるWFI製造を薬局方に収載しましたが、EUはWFI製造法に対して、蒸留法によることへこだわって “ production of WFI is limited to distillation only ” としてきました。
2002年1月にCPMP/CVMP(欧州薬局方品質と査察専門調査委員会)は、「WFIは蒸留だけにより準備されるべきである」と調査結果を発表しました。以下に欧州薬局方調査委員会からの見解を原文で紹介します。
CPMP/CVMP(欧州薬局方品質と査察専門調査委員会)見解1
CPMP/CVMP(欧州薬局方品質と査察専門調査委員会)見解2
ここには、「CPMP/CVMPは、最近WFIの準備のためのRO水の使用を再考した。ROによる水の生産およびそのテクノロジーを結び付けたものは、信頼性が蒸留に対して不足していると考えられ、関係する潜在的なリスク、例えば膜の劣化(化学的と生物学的)、効果的な検証の不足、膜完全性の不足と故障について残留する入手可能な証拠について検討した。それゆえ、現在の見解はWFIのためには高度精製水が容認できないことである」(訳文は筆者)との意が記載されています。
2015年4月になって、EDQM(European Directorate for the Quality of Medicines )からmonograph for Water for injection (0169) revision が発表され、2年後2017年4月に、いよいよ“ will became effective ”となるのです。日本において、これと同様の改正が成されたのが、1988年ですから、28年の長い年月が経過しました。
筆者はこの間に、PHARM TECH JAPAN 誌(じほう)へ「蒸留器チャレンジテストによる考察」を1995年に発表して以来、「WFI製造のファイナル機器として蒸留器が最適なのか」という視点から問題提起を続けてきました。
最近では、2013年11月には、「いまだにEU薬局方において蒸留器のみがWFI製造の手段とされていることが残念でならない。日本がPIC/Sへ加盟し、都道府県の薬務の担当者が、患者の安全性という視点から、製薬用水システム査察を実施することにより、RO膜の後段かつ蒸留器の前段に、UF膜が設置されている目的とその現実が正しく理解されると考える。その査察結果を正確に世界の行政関係者が集うPIC/S査察官会議にて、有用な情報提供として伝え、その結果として、本件が改善されることを見守りたいと思う。」PHARM TECH JAPAN Vol.29 No.13(2013)81page ATSUSHI NUNOME PIC/S and Pharmaceutical Water Part 3 を執筆しました。
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