製薬用水の実践知識【第8回】ROとUFについて(1)

2012/12/10 施設・設備・エンジニアリング

布目 温

はじめに
 RO膜とUF膜におけるpore sizeを比べると、UF>ROであるのに、なぜ製薬用水においては、UF膜がRO膜より後段にあるのか?という疑問を整理したい。
 
1.膜ろ過の一般
 水システムにおいて、目開きの大きなフィルタを先に、順に小さなフィルタでろ過するのが一般的であり、目詰まり防止の観点からも理に適っています。
 現実に、イオン交換塔の出口部にpore size 5μmを置いて、次に0.45μmのカートリッジフィルタを、配列している例があります。いきなり0.45μmミクロンを設置すると直ちに閉塞するため、大きな粒子から除去してゆくことはごく一般的です。
 ところが、図1に示す装置構成においては、前処理用MF膜としてpore size約10μm, 脱イオン用RO膜としてpore size約 1nm, 無菌化用としてUF膜pore size約 10nmが順に配列されていて、第二段階のRO膜が最もpore sizeが小さく、第3段階のUF膜の方がpore sizeが大きくなるという常識外のことが、現実に実施されています。
 かつて"The Gold Sheet 1991"(米国医薬品業界品質管理の専門誌)に、「ROはUFではない。-中略- 特に外国の施設では、UFを使って注射用水を精製しようとしている人々がいる。」と、日本におけるUF膜利用を非難する記事が掲載されました。
 なぜ?この記事が指摘するような理に適わない、おかしなことが日本で行われ、現在では米国系日本法人の製薬会社においても採用されているのでしょうか?

図1 なぜ? Pore size は、UF>ROであるのに、UF膜がRO膜より後段にあるのか?
・・・ という疑問

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執筆者について

布目 温

経歴 布目技術士事務所
技術士 衛生工学部門:水質管理
1972年栗田工業(株)入社、1992年野村マイクロ・サイエンス(株)入社。2011年布目技術士事務所(製薬用水コンサルタント)開設。製薬用水のスペシャリスト。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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