製薬用水の実践知識【第8回】ROとUFについて(1)
はじめに
RO膜とUF膜におけるpore sizeを比べると、UF>ROであるのに、なぜ製薬用水においては、UF膜がRO膜より後段にあるのか?という疑問を整理したい。
1.膜ろ過の一般
水システムにおいて、目開きの大きなフィルタを先に、順に小さなフィルタでろ過するのが一般的であり、目詰まり防止の観点からも理に適っています。
現実に、イオン交換塔の出口部にpore size 5μmを置いて、次に0.45μmのカートリッジフィルタを、配列している例があります。いきなり0.45μmミクロンを設置すると直ちに閉塞するため、大きな粒子から除去してゆくことはごく一般的です。
ところが、図1に示す装置構成においては、前処理用MF膜としてpore size約10μm, 脱イオン用RO膜としてpore size約 1nm, 無菌化用としてUF膜pore size約 10nmが順に配列されていて、第二段階のRO膜が最もpore sizeが小さく、第3段階のUF膜の方がpore sizeが大きくなるという常識外のことが、現実に実施されています。
かつて"The Gold Sheet 1991"(米国医薬品業界品質管理の専門誌)に、「ROはUFではない。-中略- 特に外国の施設では、UFを使って注射用水を精製しようとしている人々がいる。」と、日本におけるUF膜利用を非難する記事が掲載されました。
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