医薬品設備建設における「オーナーのプロジェクトマネジメント2nd改訂版」【第1回】

以前、オーナー(またはユーザーと言ったりするが)の建設プロジェクトマネジメントについて、数回にわたって連載しました。その後2019年にISPE よりBaseline® Guide Volume5 「Commissioning and Qualification」の2nd改訂版が発刊されました。ご存知のように医薬品設備の建設プロジェクトにおいては、Commissioning and Qualificationのウェイトも大きいため、「Commissioning and Qualification」の2nd改訂版の内容に沿った内容に改訂することにしました。また、さらに、講演会などで発表した内容も追加して改訂することにしました。
1. はじめに
まず、私のバックグランドを紹介する。私は2014年3月まで武田薬品工業㈱に所属して、社内の各種の建設プロジェクトに携わってきた。その携わり方は、新人の一担当者からシニアエンジニアとして、さらにプロジェクトマネジャーとして、あるいはプロジェクトマネジャーをコントロールする立場として、関係してきた。また他の化学会社との合同海外プロジェクトにも参画した。2000年以前の武田薬品工業㈱は、医薬品事業だけではなく、ビタミンバルク、調味料バルク、化学品、農薬等を生産しており、建設プロジェクトの種類も比較的幅広いものであった。
また私は、ISPEの日本本部において、EM COP のリーダーとして数年にわたって活動し、今はリーダーではないが引き続きEM COPで活動している。ここでの活動は、プロジェクト・エンジニアリングを中心に、発注側と受注側の立場の違いから来る問題点について、検討してきた。さらに、以前、私は日本プロジェクトマネジメント協会 の理事でもあった。
以上のバックグランドを基に、オーナー側の立場としての建設プロジェクトマネジメントについて記載していくことにする。ただし、守秘義務に反しない範囲での記載となることを、予め申し上げておく。以下、プロジェクトと表現したものは、建設プロジェクトを表している。
プロジェクトマネジメントについて、体系的・学問的な学習を目指される方のために、以下を紹介する。
プロジェクトマネジメントについてのバイブルとして有名なのが、PMI発行の「PMBOK®(Project Management Body of Knowledge)」がまずあげられる。詳細な内容はここでは割愛するが、「プロジェクトとは独自の成果物またはサービスを創出するための有機活動である」と記載されている。また、①総合マネジメント ②スコープ管理 ③スケジュール管理 ④コスト管理 ⑤品質管理 ⑥組織管理 ⑦コミュニケーション管理 ⑧リスク管理 ⑨調達管理 ⑩ステークホルダー管理の10領域に分類しているのが特徴である。
一方、日本プロジェクトマネジメント協会では、プロジェクトとプログラムを個々に定義して、「P2M(Project & Program Management)」という概念を提唱している。そして、「プロジェクトとは、特定使命を受けて、始まりと終わりの特定期間に、資源、状況など特定の制約条件のもとで達成をめざす、将来に向けた価値創造事業である」Ⅵ と定義している。
IPMA では、「ICB(IPMA Competence Baseline)」等を発行しているが、内容は割愛する。またISPEからも、Good Practice Guide「Project Management for the Pharmaceutical Industry」が発行されている。すでに日本語版も発刊されており、私自身も日本語版への翻訳活動に参加した。また内容的にも興味深いものが記載されているので一読されることを推奨する。
さて、いよいよ本論に入る。基本的には医薬品設備ベースのプロジェクトについて表現するが、プロジェクトマネジメントとしての基本は、どの建設プロジェクトも大幅に変わるものではないことをまず申し上げておきたい。
1. はじめに
まず、私のバックグランドを紹介する。私は2014年3月まで武田薬品工業㈱に所属して、社内の各種の建設プロジェクトに携わってきた。その携わり方は、新人の一担当者からシニアエンジニアとして、さらにプロジェクトマネジャーとして、あるいはプロジェクトマネジャーをコントロールする立場として、関係してきた。また他の化学会社との合同海外プロジェクトにも参画した。2000年以前の武田薬品工業㈱は、医薬品事業だけではなく、ビタミンバルク、調味料バルク、化学品、農薬等を生産しており、建設プロジェクトの種類も比較的幅広いものであった。
また私は、ISPEの日本本部において、EM COP のリーダーとして数年にわたって活動し、今はリーダーではないが引き続きEM COPで活動している。ここでの活動は、プロジェクト・エンジニアリングを中心に、発注側と受注側の立場の違いから来る問題点について、検討してきた。さらに、以前、私は日本プロジェクトマネジメント協会 の理事でもあった。
以上のバックグランドを基に、オーナー側の立場としての建設プロジェクトマネジメントについて記載していくことにする。ただし、守秘義務に反しない範囲での記載となることを、予め申し上げておく。以下、プロジェクトと表現したものは、建設プロジェクトを表している。
プロジェクトマネジメントについて、体系的・学問的な学習を目指される方のために、以下を紹介する。
プロジェクトマネジメントについてのバイブルとして有名なのが、PMI発行の「PMBOK®(Project Management Body of Knowledge)」がまずあげられる。詳細な内容はここでは割愛するが、「プロジェクトとは独自の成果物またはサービスを創出するための有機活動である」と記載されている。また、①総合マネジメント ②スコープ管理 ③スケジュール管理 ④コスト管理 ⑤品質管理 ⑥組織管理 ⑦コミュニケーション管理 ⑧リスク管理 ⑨調達管理 ⑩ステークホルダー管理の10領域に分類しているのが特徴である。
一方、日本プロジェクトマネジメント協会では、プロジェクトとプログラムを個々に定義して、「P2M(Project & Program Management)」という概念を提唱している。そして、「プロジェクトとは、特定使命を受けて、始まりと終わりの特定期間に、資源、状況など特定の制約条件のもとで達成をめざす、将来に向けた価値創造事業である」Ⅵ と定義している。
IPMA では、「ICB(IPMA Competence Baseline)」等を発行しているが、内容は割愛する。またISPEからも、Good Practice Guide「Project Management for the Pharmaceutical Industry」が発行されている。すでに日本語版も発刊されており、私自身も日本語版への翻訳活動に参加した。また内容的にも興味深いものが記載されているので一読されることを推奨する。
さて、いよいよ本論に入る。基本的には医薬品設備ベースのプロジェクトについて表現するが、プロジェクトマネジメントとしての基本は、どの建設プロジェクトも大幅に変わるものではないことをまず申し上げておきたい。
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