医薬品工場建設のノウハウ -プロジェクトの成功に向けて-【第5章-1】

2021/03/22 施設・設備・エンジニアリング

プロジェクトを成功に導くための手順について、ユーザー(製薬会社)の視点で紹介する。

調達・契約
1)引合方針、引合図書
●発注区分・引合タイミング
設計または施工業務を建設会社やエンジニアリング会社などに発注する場合は、そのプロジェクトの目的や特性に合わせて引合タイミング、発注区分などの引合方針を十分に検討する必要がある。
引合タイミングは、概念設計後、基本設計後、実施設計後の各設計完了後に設定され、設計段階で作成されたURB(User Requirement Brief_ユーザー要求概要書)、設計図書などの成果物をベースに引合を行う。設計図書だけでは要求項目を引合先に理解してもらうには不十分であるため、要求項目を明文化したURBを引合図書の一部として提示することを推奨する。

①発注区分
医薬品製造施設の建設プロジェクトにおける発注区分は図5-1に示すように「設計・施工一括契約方式」と「設計・施工分離契約方式」の二つの方式が考えられる。
この二つの方式について、採用することによるメリット・デメリットを踏まえて説明をする。

 

図5-1発注区分


・設計・施工一括契約方式
設計・監理業務と工事施工を同じ会社に発注する方式であり、日本での医薬品製造施設の建設では大半のプロジェクトにおいてこの方式が採用されている。
この方式には、引合タイミングの違いによって二つ選択肢がある。
a.実施設計からの設計・施工一括契約方式
b.基本設計からの設計・施工一括契約方式
ここでは当社として推奨する「実施設計からの設計・施工一括契約方式」について説明をする。
a.実施設計からの設計・施工一括契約方式
概念設計を含めて基本設計までをCM会社または設計会社が実施し、基本設計図書をベースに実施設計以降の設計施工会社を選定する方式である。

 

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執筆者について

須賀 康之

経歴 株式会社シーエムプラス プロジェクトマネージャー。認定コンストラクション・マネージャー。ISPE EM COPリーダー。 2000年大手製薬会社入社。生産技術研究所にて製剤機械設計や設備導入を経験後、2005年大手建設会社に転職し、医薬プロジェクト事業部にて固形製剤・無菌製剤プロジェクトの設計責任者・EM・VM・PMを担当。大手建設会社在籍中に1年間米国エンジニアリング会社に留学。 2019年株式会社シーエムプラスに入社後、中分子原薬、ワクチン、医療機器、食品、化粧品、固形製剤などのプロジェクトにおいてプロジェクトマネージャー・エンジニアリングマネージャーを担当。 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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