バイオ概説【第1回】入門編:バイオ医薬品の特性と定義

1.バイオテクノロジーの伸展とバイオ医薬品の定義
 
※掲載内容の修正を行いました(2015年3月4日)
 
 「バイオテクノロジー」の分野では、最近ではiPS細胞による再生医療や、遺伝子治療、クローン技術などが取り上げられ、最先端の生物工学の成果を想像するかもしれない。しかしながら、バイオテクノロジーは、従来から、我々の周囲で利用され、我々の生活とは密接な関係がある。
 
 人類は古来より微生物などの生物を利用して、アルコールや発酵食品を作り、作物や動物の品種改良などを、経験的に取得し行なって来た。これらも微生物を利用した発酵技術や自然交配を利用した遺伝子組換技術であり、ともに現代のバイオテクノロジーに応用された技術である。これら発酵や自然交配の技術は「オールドバイオテクノロジー」と呼ばれ、1980年代に発見された分子生物学の成果により、人為的に遺伝子を組み換え、製造に応用するバイオテクノロジーと区別している。日本においてもバイオインダストリーのリーディングカンパニーの多くは、酒造や醸造、繊維などが母体であることが多く、これは発酵の技術が従来から研究され、その応用分野が広範であったことが大きな要因の1つと思われる。
 
 「オールドバイオテクノロジー」は技術的に従来からの方法であるという意味であり、現在も肉質の良い家畜の品種改良、競走馬の育種、作物の品種改良、花卉の種苗などの多様な産業で現在でも利用されている。


図1 バイオテクノロジーの進展
 
 一方、分子生物学の飛躍的な進歩があった1960~70年代の成果を元にして生まれたのが「ニューバイオテクノロジー」と呼ばれる一連の技術であり、こちらは主としてコーエン・ボイヤーによる遺伝子組み換え技術の実用化により現実に応用されてきた。ビジネスサイドとしては、スタンフォード大学OTLによりライセンス供与をされ、そのライセンスフィーが安価であったことから、遺伝子組換技術の産業利用が一気に普及し、いわゆる産学連携の最も成功したケースとしても知られている。近年では当時のターゲットであった農業や医療だけではなく、バイオエタノール等に代表される代替エネルギーや、環境汚染の回復手段としてのバイオレメディエーション等、様々な分野に応用されている。
 
 このようなバイオテクノロジーを応用して開発された医薬品を、バイオ医薬品と総称している。バイオ医薬品とは、遺伝子組換え技術を応用した組換蛋白、組換抗体や、がんワクチンなどの、バイオテクノロジー技術を駆使して製造される医薬品と定義される。



図2 ニューバイオテクノロジーの成果

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