エッセイ:エイジング話【第14回】
金属とゴム劣化からシングルユース
台湾北東部宜蘭(ぎらん)県の漁港にかかるアーチ橋が、2019年10月に突如崩落、アーチ橋を通行中のタンクローリー車が落下して、橋桁付近に停泊していた漁船を直撃した事故が起こりました。直接の原因は、金属製のケーブルの切断だったと報道されました。
その後の調査から、ケーブル定着部付近に発生していたわずかな腐食を、点検作業で見落しており、時の経過によりケーブルの疲労・劣化が進行した可能性を調査結果としました。
輪ゴムで名刺を束ね、机上に長く置くとゴム跡が付くことがあります。束ねたままで暫くすると、名刺の表面のゴム跡は、取れ難くなり名刺を汚してしまいます。
天然ゴムからつくられた気球はラテックスゴム製と呼ばれ、これは環境にやさしい素材だと朝のラジオで聞きました。空気よりも軽い気体を充填した風船は、上空を風任せでさ迷っているうちに、どこかの海か陸に落下します。
ラテックスゴム製風船は、時間経過によって自然分解されることが好感され、人工的に放ったとしても環境にやさしいと認識されます。
台湾宜蘭県漁港の事故と身近な机上の出来事、環境は大きく異なりますが、時間経過による劣化が共通点です。
一見強固なイメージを持つ鋼鉄製のアーチ橋と柔らかい輪ゴム、どちらも自然環境なかで劣化が起こること、スピードに違いはあってもエイジングはどちらも進行します。
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