リスクアセスメント&マネジメント(RAMP)【第9回】

2015/09/30 品質システム

"5.変更管理
5-1 変更管理の手順
製品品質又は工程の再現性に影響する可能性のある全ての変更は、正式に提案し、文書として記録し、承認すること。施設、システム及び装置の変更が製品に対して及ぼす影響は、リスク分析を含めて評価すること。再適格性評価及び再バリデーションに対する必要性、ならびにその範囲を決定すること。
 
変更管理は、その変更によって及ぼされるリスクを評価して行わればならない。この変更管理をリスクベースで行うことは、バリデーションにも当て嵌められる。監査の主要項目は、変更管理であり、この変更管理の手順にリスクベースでの変更管理の評価がなされているかは主要な点となる。
製造方法、製造場所、規格、原料等を変更する際、変更に伴う種々の不都合・逸脱が発生することが知られている。現在は、変更に伴うリスクを分析して、そのリスクを評価・除く手法を実施することで、 変更時の不都合・逸脱を除く・軽減することが、現在求められている。
このため、変更時の潜在的リスクを顕在化して、そのリスクの大きさ・影響を推定して、それを除去する・軽減する手法を立案する、その手法を検証するためにvalidationを行うことが、変更管理である。また、リスク分析の結果、変更によるリスクが大きな場合は、変更そのものを取り下げることも、今日リスクbased cGMPにおいての変更管理の手法である。
変更管理の手順を、リスクbased cGMPで構築してみると下記のようになる。
 
変更の要求・必要性が生じる。
この時点で、リスク分析;変更によって得られる利益と変更に伴うリスクを分析する。
この時、正確なリスク分析は可能で得ないが場合が多いが、大雑把でも良いから、リスクを分析してみることが必要である。ここで、目先の利益に飛びつき、リスクを無視することは、リスク管理上最悪なことを招くことがあるため、リスク評価は重大な手法である。GMPでは、変更は今後の製造に影響を及ぼすため、決して短期間の利益を評価して、変更を承認してはならない。
変更申請者による自己点検;リスク分析により、変更に伴うリスクを特定する。この場合、顕在するリスクのみに注力して、背後に潜む“潜在リスク”といわれる予想が困難なリスクを避けて、リスク分析をすることは決して推奨されない。
出来れば、潜在リスクこそ、特定・評価せねばならない。
 
このリスク分析では、HACCP等の手法が用いられ、まずは工程の特定、実施に伴うリスクの特定、そのリスクの発生頻度、発生時のimpactの大きさ・被害の大きさ、発見のしやすさ・除外の容易さを定量化する。
 
変更点(例)
1. 製造法
2. 製造場所
3. 製造機器
4. 原料;主原料
5. 包装資材
6. 試験法
7. スケールアップ"

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執筆者について

古澤 久仁彦

経歴 1978年住友化学工業に入社、創薬、安全性等に従事。2004年三井農林(株)に入社APIの製造部門にて、信頼性保証部長を歴任、2010年テバ製薬(旧大洋薬品)に入社、信頼性保証部門、部長としてvendorのGXP全般の監査を担当。2014年退社。
製造所のGM(X)P監査・risk評価並びGMP管理(製造管理、品質保証・管理、文書管理)の実践的対応、risk分析、PMDA/FDA査察の実践的対応を得意とする。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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