通訳あるあるネタ【第16回】

2019/10/18 品質システム

前回に引き続き、通常セミナーでご紹介している「査察時に必ず知っておくべき英語表現」の中で、今回は以下の3つのキーワードを解説したいと思います。
4)    Sample accountability log(検体使用記録)
5)    System Inventory(設備機器台帳)
6)    (設備・コンピュータシステムの)Periodic Review

1つずつ解説します。
4)    Sample accountability log(検体使用記録)
「出納帳」と訳すことが多いが、最初に聞いたのは病院の薬剤部だった。FDAのGCP査察で、治験薬を受領してから患者・被験者への払い出し、余った薬剤の回収、治験依頼者への返却・廃棄までを一枚のシートで管理する帳票を指していた。GMPにおいては、QCラボで受領した検体の総量、それぞれの試験で使用した分量、試験終了後の残量、廃棄の記録までを含めた出納帳の意味である。ポイントは、それぞれの試験で使用した分量と試験終了後の残量の和と、最初に受領した検体の総量との間に大きな差 (gap)がないこと。容器に検体が少し残る(完全に掻き出せない)ことは査察官も認識しているが、Gapがあまりに大きいとunauthorized retesting(試験担当者が許可なくやり直しを行うこと)を疑われる。Unauthorized retestingなどの不正を出納帳から早期に発見することが、Accountability logの目的である。

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執筆者について

西手 夕香里(通訳・翻訳修士)

経歴 シミックホールディングス株式会社人財部Senior Interpreter
シミックファーマサイエンス株式会社信頼性保証本部薬事スタッフ(通訳担当)
Monterey institute of international studies (MIIS) 通訳翻訳修士課程終了。自動車関連大手企業で8年 (うち米国勤務が7年) 、米国系大手製薬企業で3年、社内通訳経験を積んだ後に独立。
規制当局によるGxP査察の通訳を中心に医薬分野でフリーランス通訳をしていたが、グループ会社の査察通訳がきっかけで2016年5月にシミックホールディングスに入社。非臨床と臨床を中心に、基礎研究から市販後までのプロジェクトに通訳・翻訳者として関わる。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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