現場管理者・監督者へのメッセージ(GMPの3原則から)【第14回】

2015/07/13 品質システム

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10.4.システム(4)環境:
10.4.1.環境管理システム
<微粒子/微生物管理>

 第9回の第6.4.項で記載した「環境空気からの汚染」の記載内容と少し重複するが、無菌医薬品の作業区域の管理基準については「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針(平成22年10月21日付け厚労省薬食監麻事務連絡)」や「PIC/S- GMPガイドANNEX1」などに、無菌医薬品の作業区域の清浄度グレード毎に空中浮遊微粒子/空中微生物/表面付着微生物の最大許容基準(アクション基準)やモニタリング頻度などが例示されている。これらを参考にして、(a)自社(製造所)の環境基準、(b)無菌製造作業工程(作業室)のグレード区分の取決め、(c)微生物のモニタリング頻度、(d)微粒子や微生物のモニタリングの結果に基づくアラート基準の設定、(e)アクション基準やアラート基準を超えた場合の是正処置、などを"環境管理手順書"として定め運用する。
 

<フィルター設置/循環回数/室圧(差圧)/温湿度管理>
 無菌医薬品/非無菌医薬品/包装/保管など各作業区域の清浄度を維持するための「給気フィルター(およびHEPAフィルター)設置/循環回数/室圧(差圧)/温湿度など」の要求設計基準は、第13回の第10.3.1.項で記載した "構造設備基準"の「空調設備」関係の項目として定められる。

 しかし、概して"構造設備基準"は構造設備の設計時や変更時以外に製造現場で確認する機会は少ない。日常の製造現場では、前述の"環境管理手順書"を閲覧する機会が多く、また、職員の教育にも利用する。従って、"環境管理手順書"にも、無菌医薬品/非無菌医薬品/包装/保管などの各作業区域の「給排気フィルター設置/循環回数/室圧(差圧)/温湿度など」の管理項目についても記載し、職員への理解を徹底しておきたい。

<試験室の環境管理>
 また、試験室についても、その用途(無菌試験、微生物試験、理化学試験)に応じた環境管理について製造作業区域に準じて一応の基準を設け上述の手順書に定め運用する。

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執筆者について

小坂井 宏

経歴 1971年武田薬品工業(株)入社。製剤化技術検討や、国内工場の製造部門・品質管理部門で製造技術・バリデーション・GMP管理・FDA査察対応などの職務に従事。工場 製造部長・製剤部長、製薬本部 品質保証部長、武田アイルランド社長(海外工場)を歴任。2013年退職。
製造所のGMP管理(製造管理、品質管理、文書管理)の実践的対応、FDA査察の実践的対応を得意とする。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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