工業化に適した技術による偽造医薬品の識別


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AlpVision
 

製品の安全性に関するマーケットをみると200以上のセキュリティー技術(ホログラム、電子透かし、DNAタガント、シリアライゼーション等)が液剤、粉剤及、錠剤といった様々な剤型の一次及び二次包装に偽造医薬品との闘いに用いられている。ブランド医薬品会社にとっては、これらの技術の適用範囲と役割を理解することは、特に技術的な特性面や国内だけか世界規模かを考慮したコストの点で大きな課題となっている。本文が最新の偽造医薬品対策の進歩とそれぞれの違いを明らかにすることにより、公共の安全と共に貴重な医薬品ブランドと製品を守るのに最適な安全性技術を選択するのに役に立てば幸いである。

 

 

識別と認証:解決策のために必要な二つの問題

 

バッチ或いは製品ごとの番号のシリアライゼーションの当初の目的は製造あるいは配送された製品が返品された場合の識別方法であった。患者の安全性にも関連はしているが、シリアライゼーションの最初の目的から離れてこれを認証に用いようとすることには問題がある。理屈からしても、この技術では医薬品会社は包装かラベルにリニアバーコードを印刷しなければならず、これは印刷可能な面積やコードと製品の比率は様々であるため困難な場合がある。更に各個別包装やラベルに固有のコードが適用されていることを確認するために検査員や管理者を置かなくてはならない。更にシリアライーションは適切なハードウェアやソフトウェアやスキルが必要とされる

 

認証に関しては、ブランドオーナーや製造業者が一次或いは二次包装に関するばかりか剤型についても適用可能である偽造品を識別できるセキュリティー機能は数多くある。そのうち最も有効な機能は隠在的即ち肉眼で見えないことである。

世界保健機構によれば「隠し機能の目的はブランドオーナーが偽造医薬品を識別することを可能にすることである。一般にはその存在は知られずまたそれを確認する方法もない。」。

これらの秘密つまり隠し機能の方法は今日では広範囲に使用されており、幾つかを挙げれば不可視印刷、埋め込み画像や電子透かし等がある。これらの方法はサプライチェーンの異なったポイント、使用済みあるいはごみから回収した容器からでさえ普通にサンプリングすることで偽造医薬品を検出するのに役に立つ。

 

目視検査と、例えば最終製品中の原料を分析し、機器中に保持されている正しい化学組成と比較することが出来るラマン分光分析装置のようなものと組み合わせる方法も幾つかある。しかしこの機器は数万ドルもして適切に操作するには教育訓練も必要である。更にある会社のある時期に利用可能な分析装置は少なく、製造業者は疑わしい製品を専門試験施設に送らなければならない。

 

他のもっとコスト効率の良い、しかし信頼できる方法は通常の見えるインクを用いて、通常の印刷方法で見えない印を一次或いは二次包装に通常の包装デザインや製品フローを変えることなく埋め込む方法である。他に通常のバイアルや容器を作成するのにつかわれる金型に僅かの差をつけ、ランダムなパターンの画像として取り込みデータベースとして保管する方法もある。いずれの場合もブランドオーナーや製造業者は単にフラットベッドオフィススキャナーや iPhone4 スマートフォンを用いてスキャンするだけで「真贋」が判る。


図1 薬瓶の栓の製造に用いられた金型の空隙部分によって不規則に作られた顕微鏡的な差を示す

 

結論としてシリアライゼーションは消費期限の延長や市場への流用といった基本的な不正を識別するには適しているが、医薬品の認証を確認するには適していない。上記のように信頼できる認証方法を備えていない医薬品のバッチを調べるのはコストがかかり、時として該当する成分の化学的分析が要求される。それに対し、工業化に適した不可視認証セキュリティー技術により非常に低いコストで可能な管理方法を増やし、正規のサプライチェーンに不正医薬品が流入することの防止に貢献することが可能である。

 

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