連続生産【第3回】

はじめに
 連続生産は、医薬品生産において近年注目の技術であるが、従来のバッチ生産とは大きく異なる生産方法であるために、導入に向けた対応が必要となっている。最近、日本でも承認例が出ており、各局における申請時のルール作り及びICHにおける国際調和(Q13)等、連続生産の導入に向けた環境整備が急ピッチで進んでいる。連載第3回は連続生産において、規制における重要性が高いプロセスバリデーションについて記述する。
 
1.プロセスバリデーションとは
 「Validation」とは、確認、検証などの意味であるが、医薬品の品質保証においては非常に重要な要素のひとつである。医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令では、「バリデーションとは、製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法が期待される結果を与えることを検証し、これを文書とすることをいう。」と定義されている。そしてバリデーションを行う目的は「目的とする品質に適合する製品を恒常的に製造できるようにすること」となっている。医薬品の品質保証は出荷時の品質規格「試験」で行われていると思われがちであるが、実際はGMPにより製造がバリデート・管理されることにより、製造された製品の品質は一定であるという前提があって、抜き取り・サンプリングによる品質試験が成り立っている。このことからプロセスバリデーションが医薬品の品質保証にとっていかに重要な要素であることが理解できると思われる。現状、バリデーションに関する薬事規制上の取組は国・地域ごとに微妙に異なってはいるものの、グローバル化が進んだ今となっては、その根底にある考え方はどこも共通なものとなりつつある。

2.一般的なバリデーション
 次にバリデーションにおける一般的な実施手順について記述したい。基本的には、医薬品及び医薬部外品GMP省令でバリデーション基準及びバリデーション基準の運用について述べられており、これに基づいて実施される。バリデーションの実施対象は、製造工程及び製造を支援するシステム(製造用水供給システム及び空調処理システム)、洗浄等の作業、とされているが、分析法やコンピュータバリデーションなど品質保証に繋がるものももちろん対象である。これらに含まれるシステム、管理方法においてもバリデーションされなければならない。基本的にバリデーションが必要なケースは以下とされている。

・当該製造所において新たに医薬品の製造を開始する場合
・製造手順等に製品の品質に大きな影響を及ぼす変更がある場合
・その他製品の製造管理及び品質管理を適切に行うために必要と認められる場合
 
 また、実際にバリデーションを行う際に特に必要なのは、以下の点である。

・バリデーション計画を立てること
対象となる医薬品の品質に影響する要因を明らかとし、それを評価するための適切な方法及び条件を定め、判定基準や許容されるデータのばらつきについて科学的根拠を基に設定することを事前に行うことが必要である。 
・バリデーションの計画及び結果について記録、文書化されていること
バリデーションの計画及び結果に関しては、各段階で、記録、文書化されて、責任者が文書を照査し承認しなければならない。また、バリデーションには品質部門が関与していなければならない。

 そして、バリデーションの結果、基準外となった場合は単に製造条件等を変えてバリデーションを再度行うのでなく、原因究明を行うべきである。

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