現場管理者・監督者へのメッセージ(GMPの3原則から)【第5回】

2014/10/09 品質システム

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5.3.製造指図記録書のフォーム、記載方法
 第2.6項で記したように、現場マネジャーや係長は「間接管理」とならざるを得ない。
 すなわち、管理事務所で指図記録書やその他の記録書、報告書などを確認することによって、日々の製造作業・設備管理・環境管理・製品品質の妥当性を保証することとなる。
 現場マネジャー・係長が指図記録書類を事務所でチェックすることで、製造作業に「異常が無かったこと」を保証できるような、製造指図記録書を準備しなければならない。この項では、どのような情報・データを記録すべきかといった固有技術に関する議論ではなく、指図記録書フォームや記載方法に的を絞って、作業員の作業ミス・記録漏れや管理監督者の確認漏れなどの防止のための工夫について考えたい。
 
5.3.1.指図記録書のフォームの工夫
 作業の異常や記録漏れ・確認漏れを見つけ出すためには、作業フローや指図事項が分かりやすく、作業者が作業結果や測定データを抜け落ちなく容易に記録できるようにすることだ。さらに現場マネジャーや係長らも作業結果を確認チェックし易くする工夫が必要である。
 一つの例としては、以下のような方法を紹介したい。

・標準製造法の記載とほぼ同じフォームで指図・記録書フォームを準備する。

・製造作業が行われる順序で記載され、製造の指図・管理項目、管理幅を左側に記載する。

・指図欄に対応するデータ記録欄、確認チェック欄、サイン欄を右端に揃える。

 このように配置することにより、確認・記録漏れ、作業者のサイン漏れなど人為ミスを簡単に防ぐことが出来、マネジャーや係長も抜け落ちなく記録結果のチェックができる。
 また、作業標準書の変更改訂時にも、簡単に確実に指図記録書の改訂が行える。
 

 また、以下はすでに「アンケート用紙のフォーム」などで採用されており、周知の通りであるが、 記入作業を軽減させる一つの工夫として、結果判定欄に「異常(無・有)」、「適・不適」などを印字し、結果を○で囲むようにすることだ。この結果判定欄は、各項目とも同じ位置に配置し、仮に「良い結果は左側に○、悪い結果は右側に○」で囲むように文言を決めておけば、「○の位置が全て左」に並んでおれば、結果は全て良好と誰もが簡単に判断できる。現場マネジャーや係長らも作業結果の確認チェック作業も軽減させることができる。
 
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執筆者について

小坂井 宏

経歴 1971年武田薬品工業(株)入社。製剤化技術検討や、国内工場の製造部門・品質管理部門で製造技術・バリデーション・GMP管理・FDA査察対応などの職務に従事。工場 製造部長・製剤部長、製薬本部 品質保証部長、武田アイルランド社長(海外工場)を歴任。2013年退職。
製造所のGMP管理(製造管理、品質管理、文書管理)の実践的対応、FDA査察の実践的対応を得意とする。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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