WFI製造プロせすへの思い【第23回】

 WFIサンプルを、エンドトキシン試験したデータが、薬局方に収載されている限度値に適合していること、これを正しいデータとして、査察官に納得されるまでの過程を、前回は順を追って整理しました。
 次のステップとして、サンプリング箇所が適正なのか、サンプリング頻度が適正で、WFI水質全体を網羅したサンプリングであるのかを取り上げます。
 
1. サンプリング箇所の構造問題
 サンプリングした箇所のみ、たまたま、水質をクリアしたのではないか、別のサンプリング箇所では、異なる水質ではないのか、ワーストケースは、他の箇所にあるのではないか?という疑問に対して、明確に判り易く、だれも納得できる説明をする必要があります。
 かつて、食品工場で品質上のトラブルが見つかり、対応した品質管理者が、取材に対して、つい「こちらだって、一生懸命やっているのだ!」と発言し、ヒンシュクをかった記憶があります。
 水質をクリアしない箇所が他にあり、意図的に隠しているのではないかと、来訪する査察官に対しては、丁寧に順序立てて説明し、「無実の疑い」を晴らしてもらいたいと思います。
 WFIは、各ユースポイントへ、一筆書きで順番に送水されるのが一般的であり、最終ユースポイントへ送水された後に、WFIタンクへ戻るしくみですから、ループ配管内を連続的に循環しているWFIは、同一な水質へ収束していると判断して話を進めます。
 ちなみに、このループ配管内を循環しているWFIは、蒸留器から流出した瞬間のWFIよりも水質が低下しているのが一般的です。蒸留器からWFIタンクへ至る配管内、WFIタンク内、回転体であるWFIポンプのインペラーに接触した部分において、WFIは汚染されます。
 筆者はかねがね、注射剤の仕込み原料となるWFIは、蒸留器の出口から直に採水してもらいたいと考えますがなかなか適いません。
 また、このループ配管中のWFIを流れているままに、サンプリングすることも困難です。サンプリングバルブは、最終ユースポイントの下流側でWFIタンクへ戻る直前に設置されることが一般的ですが、ループ配管からの取り出し部分のT字管、ダイヤフラム弁体、バルブ二次側ノズルを接して、サンプリングボトルへ採取されます。
 ループ配管内を流れているWFIよりも、サンプリングされたWFIのほうが、経由した配管材と接する分だけ汚染され、水質低下が起こることが一般的と考えられます。
 それでは、このサンプリング工程による汚染と、各ユースポイントでの取り出し箇所での汚染を比べる必要があります。
 ここで、WFIポンプ、ループ配管、ユースポイント2ヶ所、サンプリングバルブ1ヶ所から成る、シンプルなWFIループラインを造ってみました。

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