ソー責のソー肩にはソー当重い責任がのっている!【第4回】


(前回の続き)
 
3)海外企業の視察
 日本でのペニシリンGの原薬生産が、「世界で生き残れるか?どうすれば勝てるか?」を調べるために、工場の培養、精製の現場の精鋭技術者2名、本社から1名(私)をヨーロッパの発酵企業の視察に送り出した。1ドル121円に近づく1987年11月である。技術、設備、コストなどについて世界を知るというミッションである。イギリス、スペイン、オーストリアの有力な新鋭の発酵工場を訪問し、相互の技術交流を行い、発酵槽、精製設備、電力、要員、技術などの比較していった。どの会社の技術者も、フランクで、タンクの形状、技術などを各工場ともに開示してくれ、互いの力を比較し、議論をしていった。
 その結果、品質の高さでは、我々が優れている。コスト、技術に改善課題があると考えた。培養力価(生産性)と精製収率はほとんど変わらないか、あるいは勝っている。労務費は、変わらない。現場で働く人の質と能力は当方が優れ、用役費(エネルギーコスト)、農産原料、界面活性剤はヨーロッパが安い。化学原料には大きな差はない。設備は、英国、オーストリアが優れていた。
 比較した中で、我々の強みは微生物であった。薬品の創業以来、長年改良してきた結果、菌株は、海外と生産性に遜色はないが、電力を使わない省エネルギー型の菌に育種されていた。これを生かせば、エネルギーコストの差はカバーでき、更にコジェネレーションの導入で電力コストを下げれば更にいける。
 コストのかかっている順に、ターゲットを決めて、低減させ改良を進めるというシナリオを書いた。原料コストで最も高い原料を安い原料に切り替える。安いが品質が悪くなるのでは元も子もない。安い培養原料を使いこなすこと。精製も同様に取り組んだ。ただ、単純にその物を変えるだけではうまくいかない。

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