スタートアップバイオベンチャー経営(栄一の独り言)【第13回】

<前回までのあらすじ>
シンガポール政府の「戦略的国家プロジェクト」に基づいてアカデミア(シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)、シンガポール国立大学(NUS)等)の活動を紹介しました。

<今回のお話:シンガポールでのライフサイエンス産業界の動き>

バイオポリスシンガポール科学技術研究庁(A*STAR)が主導する、生物医学分野の研究開発拠点です。バイオポリスには、A*STARの研究所や大学の研究センターのほか、多くの製薬企業やバイオベンチャー企業が入居しています。2001年に着工、2014年まで段階的に拡張工事が行われました。この地区は、EDB(シンガポール経済開発庁が整備したもので、入居企業は研究施設やオフィススペースを優遇的な条件で借りることができます。EDBは一般的に、企業の事業規模や投資額、雇用創出数などに応じて、最大で10年間の法人税率の減免や労働者の給与の一部補助などのインセンティブを提供しています。
A*STARは一般的に、産業界と連携してイノベーションを推進するために、様々な助成金制度やパートナーシッププログラムを提供しています。

バイオポリスへの研究機関/産業集積
出所:A*STAR “RESEARCH TO REAL LIFE SINGAPORE AS A HUB FOR HEALTHCARE INNOVATION”

バイオポリスに入居している日本の代表的企業、中外製薬をご紹介します。

中外製薬2012年にシンガポールに子会社として中外ファーマボディ・リサーチ(CPR)を設立しました。CPRは、中外製薬が独自に開発した抗体エンジニアリング技術を用いて、抗体医薬品の創製を行う研究所です。CPRは、A*STARのシンガポール免疫学ネットワーク(SIgN)と協働して、デングウイルスに対する新しい抗体医薬品の開発を進めています。また、A*STARと共同でCOVID-19に対する治療用抗体の研究も行っています。A*STARは主にデングウイルスやCOVID-19に対する新しい抗体医薬品の開発において、自らが保有する高多様性合成ヒト抗体ライブラリから有望な抗体候補をスクリーニングし、CPRに提供しています。CPRは、中外製薬が保有する独自の新規抗体創製技術を活用し、従来にない価値を提供する革新的な抗体医薬品候補を迅速かつ効率的に創製することを目的として活動しています。
中外製薬は、2020年7月より、シンガポールに拠点を置くデジタルセラピューティクス企業の世界的リーダーであるBiofourmisのBiovitals®プラットフォームを活用し、バイオセンサーおよびAIベースのアルゴリズムを利用して、子宮内膜症患者さんの痛みを客観的に評価する新たな評価法の確立を目指し、共同開発を行っています。

次に、シンガポールで活動している日本のスタートアップ企業をご紹介します。

 

 

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