薬事屋のひとりごと【第4回】

医薬品におけるニトロソアミン類の混入リスクに関する 自主点検後の対応について


PMDA Webサイトより

筆者が気になる通知をひろいあげて、ひとりごとをお伝えするシリーズです。ひとりごとは読み流していただき、読者の皆さんが通知をお読みの上、しっかり内容を把握いただくと助かります。

今回は、なんといってもニトロソアミン類の通知でしょう。「何それ」「知らんがな」とつぶやく読者の皆さんの目線でのひとりごとです。よくご存じの方は、読み飛ばしてください。

ニトロソアミン類は、R1R2N-N=O の構造を有する数多くの構造の異なる化合物の総称でN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)がその代表例です。その歴史は思ったより長く、1970年代、発色剤として亜硝酸ナトリウムなどで加工肉を処理するとニトロソアミン類が生成する可能性が疑われ、分析法やヒトの暴露量について調査研究が行われるようになりました。2015年、国際がん研究機関(IARC)が加工肉について「人に対して発がん性がある(Group1)」と、主に大腸がんに対する疫学研究の十分な証拠に基づいて判定しました。要因が疾病に与えるインパクトを算出する疾病負担研究プロジェクトでは喫煙に起因する全世界のがん死亡は年間100万であったのに対し、アルコールは60万、大気汚染は20万、加工肉では3万4千人であったことが報告されています。

2018年、中国で製造された医薬品の原薬からNDMA(原薬中36~74ppm)が検出され、世界的に関連製品の自主回収が行われました。溶媒として使用されるN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)の分解によって生じるジメチルアミンと亜硝酸ナトリウムとの反応、または合成経路に含まれるトリエチルアミン(TEA)から生成するジエチルアミン(DEA)と亜硝酸ナトリウムとの反応が生成経路として考えられていました。はじめは「特殊な原薬の製造工程」が原因かと思われてましたが、だけじゃないんです。

 

 

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