WFI製造プロせすへの思い【第14回】

 WFIタンクは水位がHレベルに達すると供給が止まり、Mレベルに低下すると供給が始まります。蒸留器から供給されるWFIは、その都度継ぎ足されるのが、現在は一般的になっていますが、WFIは、一日単位でバッチ管理されていた時代がありました。
 医薬品品質を管理する手法として、1バッチ単位毎に品質検査を行って管理する方法と、連続した工程の流れの中で逸脱がないかを、連続的に管理する方法があります。今回はWFIを一日単位でバッチ管理していた頃の話をします。
 
1. WFIタンクが3基
 WFI施設を初めて見せてもらったとき、WFIタンクが3基並んでいたのを覚えています。「毎日順番に使う」と説明を受けました。3基あるタンクをA基、B基、C基とすると、A基は本日使用中、B基は明日に使用するため待機中、C基は明後日に使うため待機中と説明を受けました。
 待機中のWFIタンクは、WFIとしての試験結果待ちと説明を受けました。Pyrogen試験と微生物限度試験結果を確認した後に、B基とC基中で待機している蒸留水は、WFIとして認識され、使い始めることになるのです。
 この方式では、蒸留器はいったん稼働すると、WFIタンクが満杯になるまで停止せず、連続稼働します。ですから、Bタンク中に保持している蒸留水は、文字通り1バッチなのです。よって満杯のBタンクからサンプリングした試料は、この1バッチ蒸留水の水質を文字通り代表していることになります。
 WFIタンク3基によるバッチ管理のイメージを示します。



2. バッチ管理は汚染がない
 Bタンク内の蒸留水は汚染を受ける機会はなく、使用開始から24時間以内で使い切ります。残ったWFIは排出されますから、次のバッチに継ぎ足されることはありません。使い終わったBタンクは蒸気滅菌され、次の採水まで待機します。
 この3基のWFIタンクを順番に使い、それぞれのタンク内に保有するWFIを、1バッチとして、その水質が確認された後に使用する方法は、汚染が関与する機会はきわめて少なく、操作もシンプルな、原理的にもWFI安全性を説明し易い方式だったと思います。
 ここには、CSV(コンピュータシステム化バリデーション)が関与する機器は、ほぼ皆無であり、システム制御側からのトラブルや装置本体からの物理的な汚染リスクが極めて少ない信頼性の高い方式であったと思います。

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