私が経験したGMP、(@独り言)【第6回】

2022/07/29 品質システム

GMP文書体系に思うこと。

GMP文書体系に思うこと

どこの製薬企業でも、GMPの基準書、手順書、製品標準書など、必要とされる文書は作成されてきた。既に適合性調査や顧客監査などを経られて、そのたびにこれらの調査や監査の折に指導や改善点として指摘されたところを改善されてきたのだから、各社それぞれに仕上がっているものを持たれている。

前回の記事でも触れたとおり、筆者は初め、米国の会社で構築されたGMP文書を日本版に書き直して再構築しながらGMP文書のベースを培ってきた。そのため日本の行政のお手本をもとに作成された、いわば日本のGMP文書には違和感を覚えることがあり、それは多分、文書体系そのものが異なるからなのだろうと思っている。

違和感の原因の一つは、GMP三基準書の存在であった。2021年のGMP省令改正以前の旧GMP省令では必須とされていたものだ。GMP三基準書とは、製造管理基準書、品質管理基準書、衛生管理基準書の三つ。衛生管理基準書はその昔、製造衛生管理基準書といわれていた時代もあり、製造エリアの衛生管理を中心に必要とされていたものだったようだ。いつのころからか、GMPに関するエリア全般に適用されるものとなり、その名称から製造の文字はなくなって衛生管理基準書となっている。

筆者の構築していたGMP文書では、日本のGMP三基準書のように製造、品質、衛生それぞれに区分して基本概念を記載した文書は作成していなかった。GMP文書のトップには、クオリティマニュアル(QM)があり、基本的なGMPの概念については、QMにまとめて示してあった。ただ、QMには製造管理基準書、品質管理基準書に書かれるような内容は、網羅されているのだが、一般的な衛生管理基準書に収載される項目のうち、作業環境の基準や更衣や清掃に関するものなどは、触れられていない。これらは製造する製品の要求に合わせて標準操作手順書(SOP)の中にそれぞれ具体的に規定していた。例えば作業室の環境の基準値や管理方法は、施設設備の管理手順書に各々の場所ごとに記載して、使用するエアフィルタのメーカー、型番や交換頻度などもそれぞれに規定し、入室することができる従事者の要件なども作業場所ごとにSOPへ記載する。このような規格値や管理法、及び手順を「衛生」というひとくくりの概念として基準書へ記載しているのは、日本のGMPの特長の一つかもしれない。

 

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執筆者について

佐藤 小津江

経歴

1985年より4.5年間動物用医薬品の研究開発及び品質管理業務を経て、1988年より12年間、医療用医薬品(注射剤)の品質管理、研究開発とGMP整備業務に携わる。2002年より8年間、経皮吸収型製剤の分析評価業務と治験薬GMP体制整備に従事。2013年生物由来原薬、製剤、無菌原薬の製造販売業にて品質保証部業務と品質管理責任者を兼務し、2016年退職。株式会社シーエムプラスに入社。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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コメント

山本 京子 / 2022/08/02

挿入されている図の字が小さく潰れているので判読できません。もう少し大きくしたものを貼り付けていただけると助かります。

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