WFI製造プロせすへの思い【第8回】

8.  膜分離による無菌水製造

 膜分離はろ過操作であり蒸留操作とは大きく異なります。膜には水が透過できる孔があり、透過できない粒子を阻止することができます。微生物体長よりも小さい孔径を持つ膜によって、微生物を排除することができます。
 注射用水(WFI)に含まれてはならない発熱性物質(Pyrogen)を微粒子と見なせば、膜分離によって、蒸留操作よりも高い確率で、確実にPyrogenを排除することができます。これが前回お話しした日本においてWFI製造用蒸留器へ疑問を持つ人達の対応策でした。


膜分離による微粒子排除の概念

1) ろ過膜のタイプ
 ろ過膜には膜を適当なサイズにカッティグした平膜タイプと、平膜を加工したモジュールタイプがあります。

ろ過膜のタイプ

 平膜タイプは、プレートアンドフレームと呼ばれる枠に周囲を挟んで使うもの、平膜を山谷状に折って筒に詰めたプリーツ型カートリッジフィルタ、不織布などを筒に張り合わせ整形型したものが一般的であり、主にバッチ式にろ過するときに使われます。
 モジュールタイプは、平膜をスパイラル状、中空糸状などに加工した膜メディアを、ハウジングと呼ばれる容器に詰めて使われます。ROやUFはこのモジュールタイプで連続ろ過に使われます。

2) MF膜
 微生物をメンブランフィルタ上に捕捉できる孔径を有するろ過膜を除菌膜と呼び、この目的に使われるものには2つのタイプがあります。
 精密ろ過膜として位置づけられるMF膜のなかで、1つ目は、孔径0.45μm未満がこの分野対象のカートリッジフィルタです。
孔径の表示には、アブソリュート孔径とノミナル孔径があり、前者は後述するバブルポイント試験などによって、実際に検査して孔径を確かめ得る表示であって、除菌フィルタとして利用するにはこの表示が必要です。
 後者は公称孔径とも呼ばれ、表示された孔径粒子がおおむね排除できることを前提としとしていますが、この表示はフィルタ種によって統一されたものではなく目安です。
 2つ目は、ボトルウオーター製造や浄水ろ過に使われるモジュールタイプの膜であって、表示される孔径はおよそ0.1μm以下であります。一般にアブソリュートという表示はされません。モジュールタイプは洗浄しつつ繰り返し通水する特徴があります。

3) ろ過滅菌
 MF膜を除菌フィルタとして厳密に微生物排除に使用すること、具体的には、膜2次側における微生物数を1次側の微生物数に対して100万分の1未満に低減する操作概念を、医薬品製造分野においてろ過滅菌と呼んでいます。
 ろ過滅菌は、無菌性保障レベル(sterility assurance level :SAL)という概念が使われ、滅菌の定義はSAL≦10-6 が医薬品製造において最終滅菌法として採用されています。
 無菌製剤である注射剤製造において、その仕込み水中や容器の洗浄水中には、Pyrogenが含まれてはなりません。
 Pyrogenは、特定の微生物体や代謝物に存在していますが、その特定の微生物を識別して、注射用水仕込み水から排除できる簡便手段がないために、注射用水は、製造段階、貯留送水段階、充填段階において、あらゆる微生物が存在しないことを検証すること、すなわち無菌性保証が求められます。

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