ゼロから学ぶGMP【第11回】

5-8 第11品質管理
5-8-1 試験指図書
 第11条第1項には「製造業者等は、品質部門に、手順書等に基づき、次に掲げる製品の品質管理に係る業務を計画的かつ適切に行わせなければならない」と記載されています。この条文で「計画的」という言葉が少々わかりにくいように思います。受け入れた「原料・資材」の検体採取を適切に行い、速やかに手順書に従い検査することや、「製品」の製造終了後、速やかに手順書に従い試験を行うことは当然のことです。ここでは「計画的」ということに関し、少し「試験指図書」について述べてみたいと思います。製造作業に関する指図書はGMP省令にも明確に記載され、疑問の余地はありません。一方「試験指図書」についてはGMP省令には記載がありませんが、PIC/Sには第4章Documentationの原則(Principle)の「要求されるGMP文書」の中の「指図書タイプ」の一つとして「試験の指図書」があげられています。すなわち試験指図書の発行が、製造等の指図書と同列で要求されています。GMP省令に記載がありませんが、例えば「受入れ試験」については、一定の条件が整えば、一部を省略することが認められていますが、省略する場合には試験指図書により省略する項目を明確にしておくことが勧められます。
 
5-8-2 検体採取と試験検査
 検体採取は施行通知にあるように「原則として品質部門の者が行うこと」とされています。検体採取は統計学的根拠等に基づいて、定められた手順書に従い実施することが必要です。このことはGMP省令(事例集8-16)でも、cGMP(CFR Part 211.84)、PIC/S(Annex8)でも同様です。ただPIC/Sではさらに「出発原料の完全なバッチの同一性は、通常個々にサンプルを全ての容器から採取し、確認試験が各サンプルについて実施された場合にのみ保証される。複数の容器のある部分のみのサンプル採取を行うことは、出発原料の容器の内、1つも不適正にラベル表示されていないことを保証できる、バリデーション済の手順が確立されている場合には許される。」との記載があり、結構悩ましいことではあります。
 ただ全包装容器から検体採取を行うことは、すべての容器の封を開くことであり、且つ容器の表層のみからの検体採取が妥当とも思われませんので、それなりのリスクがあることを理解しておく必要があります。これらの検体を用いて試験し、試験成績書が発行されることになりますがこれらは通常の業務であり、特記することはありません。

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